ソフトバンク田上秀則捕手(29)が28日、背番号「70」にこだわる考えを明かした。田上の背番号は、レギュラーとしては異例の大きな番号。チームでは城島がメジャー移籍した05年オフから背番号「2」は欠番状態。城島の阪神入団が決定し、田上に「2」への変更を打診される可能性があるが、断る考えだ。「70には愛着がありますしね」。テスト入団からチーム本塁打王にまで登りつめた男は、苦労のつまった番号を背負い来季も扇の要を守り抜く。

 27日、城島の阪神入団を受けて行われた会見で竹内COO(球団最高執行責任者)は「チーム内部にもさざ波を立ててしまったことに対して申し訳ない」と話した。今季正捕手の座をつかんだ男の心情に配慮したコメントだった。今季チームトップの26本塁打。オフの契約更改では年俸の大幅アップに加え「2」を含めた新背番号提示の可能性は十分にある。

 それでも「70」にはこだわる。05年のオフに中日から戦力外。野球を辞めようとも考えたがソフトバンクの入団テストを受けた。折しも当時正捕手だった城島がFAでメジャー移籍。当時の王監督に打撃力を評価され入団が決定した。「城島さんが、あの時ああなってなかったら今の自分はない」。今シーズン途中にそう話した男は重い番号を背負い、パ・リーグの捕手では04年の城島以来となる25号到達を果たしてみせた。

 城島の会見から一夜明けたこの日、王会長は「かえってチーム一丸となってね」とコメント。本多が「ウチにはヒデさん(田上)がいますから」と話すなど田上の正捕手としての信頼感は揺るぎない。9月2日オリックス戦。05年城島以来となる20号を放ち「城島さんと同じ事をしても城島さんと同じ成績は残せない。自分をつくりあげていくしかない」と話した背番号「70」の正捕手が、来季チームを7年ぶりVに導く。

 [2009年10月29日12時24分

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