<日韓クラブチャンピオンシップ:巨人9-4KIA(韓国)>◇14日◇長崎

 巨人が完全制覇で09年を締めくくった。日本と韓国の王者が対決する日韓クラブチャンピオンシップで、KIAに9-4で快勝し、リーグ3連覇、日本一に続いて3冠を達成した。2点を追う7回に主将の阿部慎之助捕手(30)が逆転3ランを放つなど一挙7点を奪って突き放した。原辰徳監督(51)にとってはWBC優勝を含め4つ目のタイトルとなった。巨人は優勝賞金2000万円を獲得した。

 いつもより1オクターブ高い、元気いっぱいの大声だった。逆転3ランで09年最終戦のヒーローになった阿部は、お立ち台で「最高で~~~す」と誇らしげだった。最後の最後まで頼もしかった男に引っ張られ、巨人がリーグ制覇、日本一に続く3冠を達成した。

 韓国王者KIAは簡単な相手ではなかった。6回を終え1-3。先発左腕・梁弦種のキレのある直球、チェンジアップに手を焼いた。6回に小笠原が特大アーチを放つと、4番ラミレスを迎え梁弦種は降板。継投に入った。だがこの強力打線が、徐々に質が落ちる相手ブルペンに逃げ切りを許すわけがなかった。

 7回。無死一、二塁で阿部。3番手鄭正哲の2球目だった。145キロインハイ直球をけれん味なくしばいた。有り余るパワーが打球を右翼席まで運んだが、「思い切り引っ張ろうと思っていた。つないでいこう、と」と阿部は言った。今季FA権を取得し球団と交渉中だが、権利を行使せずに長期契約で残留することが決定的だ。これからも巨人を率いていく主将。貫いてきたフォア・ザ・チームの意識が逆転打の根底にあった。

 原監督をも「シーズンを象徴したようなイニング。(09年を)思い出しながら見ていました」と酔わせる6安打、7得点のビッグイニングで一発勝負は決した。サムライジャパンを率いた原監督にとって今年4個目のタイトル。「私の力は微々たるもの。感謝します」と謙遜(けんそん)したが、長崎のファンはやまない拍手で包んだ。最後の公式会見。「私を含め阿部、小笠原、亀井、内海、山口。そしてコーチ2人の8名は、世界中で誰より真剣に、長く野球をやった。自分を含め、ご苦労さまと言いたい」としみじみ語り、名将として球史に名を刻んだ09年を締めた。【宮下敬至】

 [2009年11月15日10時41分

 紙面から]ソーシャルブックマーク