新球習得で完全復活だ!

 今季、プロ5年目で最少の5勝に止まった中日中田賢一投手(27)が16日、新しい球種で投球の幅を広げていく考えを示した。この日はシュート、チェンジアップなど新たな球種を4種類テスト。「あればあるほど武器になる。いろんなことにチャレンジしたい」。かつてGキラー、阪神キラーと評された「背番号20」は、従来の3種類と合わせ“七色の変化球”を武器に、巻き返しのシーズンに臨む。

 その表情が手応えを物語っていた。この日、ナゴヤ球場の室内練習場で投球練習をした中田は次々に新球を試投した。同時にブルペン入りした投手が投球練習を終えてもお構いなし。3日前に186球を投げ込んだ右腕は、この日も110球を投げ込んだ。ブルペンから出てきた中田は「今日投げたのは直球、スライダー2種類、フォーク2種類、カーブ、チェンジアップ、シュートですね」と指を折りながら話した。

 異例とも言える大幅な「球種増量計画」だ。これまで実戦で使用していた変化球は主に3種類。腕の振りなどで多少の変化させていたが、フォーク、スライダー、カーブが軸だった。ここまで変化球を増やすことはなかった中田は「あくまでもまっすぐが一番。直球が良い感じになってきたので、変化球はそのプラスアルファ。(変化球が)あればあるほど武器にはなると思う」とその意図を説明した。

 巻き返しを誓う来季に向けて大きな武器になる。今季はプロ入り後、最低の5勝(4敗)に止まった。阪神戦では2試合に登板したが、2敗。10月、巨人とのクライマックスシリーズ第4戦(東京ドーム)では谷に満塁弾を浴びるなど、3回持たず7失点。目の前で日本シリーズ進出を許した。かつての巨人、阪神戦を得意とした男の姿は影を潜めた。新球を習得して投球の幅を広げることは「キラー」復活への近道でもある。

 ここまで秋季練習で1000球近くを投げ込んだ右腕は、自らが描く理想の投球フォームを追求してきた。中田は「体の開きもなくなってきたし、右足の使い方も良くなって体重が乗るようになった」とここまでは順調だ。小林投手コーチも「フォームが良くなって直球が良くなった。今は投げることが楽しいんじゃないか」と中田の気持ちを代弁した。

 貪欲(どんよく)な姿勢を崩さない。「秋季練習の成果が徐々に出てきた。これからもまだまだ投げます。明日も100球くらいは投げますよ」。最大の武器である150キロ超の直球が安定したことで、球種を増やすきっかけにもなった。実りの秋にするべく中田はまだまだ右腕を振り続ける。【桝井聡】

 [2009年11月17日10時39分

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