日本ハム稲葉篤紀外野手(37)が「中田教育委員会」を立ち上げる。10日、自主トレ先の佐賀市内での野球教室に講師として参加。伸び悩んでいる3年目中田翔内野手(20)がキャンプで外野転向し、接する機会が増えることもあり指導を徹底することを誓った。派手な言動などが目立つが、森本ら他選手とプロとしての姿勢、考えなどを伝授する予定。今後、球団を背負うホープ育成を行っていく。

 小学生、中学生に野球を教えた後、1人の「問題児」が脳裏にフラッシュバックした。稲葉が表情を曇らせ、ポツリと漏らした。主将としての今季の役割を「選手みんながやるべきことは分かっているから大丈夫」と位置づけ、最後に付け加えた。「あとは(中田)翔がね…」。1軍へ定着できていない、眠れる怪物スラッガーを憂いた。

 教育に乗り出す、きっかけは年明け早々だった。1月7日に中田は、大阪桐蔭の先輩のロッテ西岡、中日平田と自主トレを開始。その様子を報道を通じてチェックし、落胆したという。目を奪われたのが、えとの「虎」を意識したという中田の大胆ヘアだった。稲葉は「あれにはガッカリした」と、期待を裏切られた本音を吐露した。

 後輩だからこそ、本気になる決意を固めた。2月1日スタートの春季キャンプでは、外野転向に挑戦する中田とこれまで以上に接点が増える。昨季は1軍初昇格を果たし、多少の交流があった。稲葉は「話しかけてきたりして、かわいいしね。(2人の)距離も縮まった」と、これからは、さらに突っ込んだ助言ができるとの実感をつかんだ。飛躍の3年目にできるよう、後方支援する機は熟した。

 周囲で一丸となって、若い芽を伸ばしていくつもりだ。稲葉は「(森本)ひちょりは結構、厳しいことを言ってきているから」という周囲とも結束し、中田にプロ道を注入する。さながら「中田教育委員会」ともいえる組織を結成。梨田監督らコーチ陣では行き届かない、選手目線だからこそ、さらに説得力のあるプレー以外の部分を指導することになりそう。球団、ダルビッシュらも頭を悩ます難題解決に“稲葉教育委員長”が、立候補した。【高山通史】

 [2010年1月11日10時46分

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