【ユマ(米アリゾナ州)29日(日本時間30日)=四竈衛】「ナックル姫」が、悔しい思いで米国デビュー戦を終えた。同地で行われているウインターリーグに参加中の吉田えり投手(18)が、所属するユマ・スコーピオンズの開幕投手としてチーム・カナダ戦に先発。制球に苦しみ、2回3安打5失点4死球1四球と、本来の持ち味は出せなかった。「全然ダメでした。緊張感はありました。とりあえずすっごく悔しいです」と率直な思いを口にした。敗戦投手こそ逃れたが、イメージ通りの投球ができなかった無念さは隠せなかった。

 制球難の原因は、初使用した米国のロージンバックだった。試合開始前、マウンドに向かう際、大きなロージンを見て「靴下が飛んで来たと思った」と苦笑するほど、見慣れないものだった。実際「ベタベタして球が抜けず」(吉田)、4死球1暴投。「そのせいにはしたくない。気持ちの問題。失敗したからこそ、課題が見つかりました」と次回登板に気持ちを切り替えた。体に合うユニホームがなく、最終的に選んだのは、一番小さい男性用Lサイズの背番号「3」。ダボダボのまま、初登板に臨んだ。

 結果は不満足だったが、米国の環境は満喫した。「日本で天然芝は少ないし、毎日こんないいグラウンドでプレーできたらいいな、と思いました」。試合後は、地元ファンからサインや写真撮影をせがまれるなど、早くも「えりちゃん人気」は急上昇中。「白いご飯が恋しい」と言うものの、今回の修業で、米挑戦が一気に現実味を帯びる可能性が出てきた。

 [2010年1月31日9時44分

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