日本ハム中田翔内野手(20)が、“外野手デビュー戦”で、守備機会ゼロでも株を上げた。8日、沖縄・名護キャンプでの紅白戦で、白組の3番左翼として出場した。外野手として実戦初出場だったが、1度も打球が飛んでくることはなく、打撃でも3打数無安打に終わった。好守好打でアピールとはならなかったが、首脳陣からは上々の評価をもらった。勝負の3年目は“地味~に”好スタートを切った。

 特大アーチやダイビングキャッチなどの派手さはない。守備ではボールに触れてもいない。最後まで目立ったアピールの機会はなかった。それでも外野手としてのデビュー戦に、収穫はあった。中田は「清水さん(外野守備走塁コーチ)に教わったことを意識しながらやっていました。まだ紅白戦は続くので、ボールに対しての一生懸命さを出していきたいです」。落胆することなく、9日も予定されている紅白戦(名護)を見据えた。

 見慣れない景色に最初は戸惑った。大阪桐蔭時代以来の外野守備。「定位置とかもよくわからなかった」。中堅手の陽から指示を受けて右往左往し、左翼から右翼へと吹く強風にも「気にはなった」と頭を悩ませた。だが、投球1球ごとに足を動かして反応し、カバリングにも全力疾走で取り組んだ。「内野のときは『(打球が)くるな』と思うこともあったけど、『飛んでこい、飛んでこい』と思っていました。楽しくできているし、少しずつ成長しているのがわかるから、自分でもおもしろいんだと思う」と振り返った。

 中田が意識する「一生懸命さ」は、首脳陣に届いていた。清水コーチは「準備がよかった」と笑顔。守備位置で手をひざについたりする態度がなかったことを評価し「今まではあんなにいいかげんにやっていたのにね。今日は(打球に対して)すぐに動こうという姿勢が見えた」。梨田監督も「特守を志願したり、やろうという気持ちが見える。積極的になっている」と目を細めた。

 打撃では、昨年は紅白戦初戦の第1打席初球に左中間への場外弾を放った。今年は外角球に泳いだ右飛2つと内角直球に詰まった二飛の3打数無安打に終わった。結果は出なかったが、指揮官は「フリー打撃の感じはいい。すぐに結果は出ないと思うけど、これからでしょう」とあたたかい目で見守った。

 安打も出ず、打球も飛んで来なかったが、終わってみれば高評価を得ていた。中田は「外野の先輩たちに少しでも近づけるように、練習するだけです」と謙虚に話した。真剣に練習に取り組む姿勢とレギュラー取りへの強い気持ちが、好サイクルを生んでいる。【本間翼】

 [2010年2月9日9時22分

 紙面から]ソーシャルブックマーク