<阪神10-6広島>◇7日◇甲子園

 今季13度目の逆転勝ちを呼び込んだのは、ベテラン矢野耀大捕手(41)の一振りだった。1点を追う8回1死満塁。代打で登場すると、割れんばかりの声援を背に打席に立った。「すごいチャンスだったので、初球からいってやろうと思っていた」。マウンド上には、同じくアラフォー世代の一人として奮闘する高橋。気迫で勝った。

 初球。真ん中高めにきたチェンジアップに、体勢は完全に崩された。「必死やった。マイナスな面も頭に浮かんだけど、それを打ち消すためにも初球からいった」。執念が実り、打球は三遊間を破った。4月7日の巨人戦(甲子園)以来、今季2本目の安打は、自身今季初タイムリー。同点に追い付く貴重な一本で、チームをよみがえらせた。

 長年、阪神の正捕手を務めてきたが、今年は城島の加入で状況が一変。代打稼業として自身の働き場を今でも模索している。「やっぱり(代打は)試合の入りが難しい。自分は捕手をやってた時も、なるべくベンチで試合を見ていたいタイプだから」。捕手として途中出場するなら、試合の流れを見るためベンチを離れたくないが、代打に備えてベンチ裏で準備もしたい。そんなもどかしさがある。

 それでも、置かれた状況で結果を残すことがプロということも自覚している。「(代打としての)ルーティーンはまだないけど、どういう準備をすればいいか、ヒーやん(桧山)とか見てる」。今季初めて上がったお立ち台。いぶし銀の働きを見せた男は絶叫した。「甲子園のお立ち台に上がりたいと思ってやってきた。明日からも必死のパッチで頑張ります」。矢野の表情には満面の笑みが広がっていた。

 [2010年5月8日10時52分

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