<中日5-4オリックス>◇15日◇ナゴヤドーム

 オレ竜が今季6度目のサヨナラ勝ちで、交流戦開幕3連勝を飾った。オリックスに1点をリードされて迎えた9回裏、トニ・ブランコ内野手(29)のタイムリーで同点に追いつくと、最後は小池正晃外野手(30)が誕生日を自ら祝うサヨナラ打を放って決めた。負傷交代した和田に代わって途中出場した「代役」が大きな仕事をやってのけた。

 勝負を決めたのは代役の男だった。9回、中日は同点に追いつき、なお1死二、三塁。サヨナラの好機で打席に立った5番打者は和田ではなく小池だった。初球、3球目とオリックス守護神レスターのボールになるスライダーを振って追い込まれた。だが、開き直った。「悔いを残したくなかった。3回振ってだめならいいやと思っていました」。151キロの速球に食らいついた打球は投手のグラブを弾き中前へ。今季6度目のサヨナラ勝利だ。

 「打った瞬間は頭が真っ白になり、何もわかりませんでした。前に飛んだんで何かが起きると思っていたんで…、うわっ!」。

 お立ち台でインタビューを受けていた小池にサプライズが襲いかかった。こっそり忍び寄った谷繁がパイ皿に盛ったシェービングクリームを顔にベチャッ…。この日が30歳の誕生日だった小池へのチームメートからの手荒い祝福だった。「以前から、シゲさんと僕で他の選手にやってやろうと相談していたんです。それをすっかり忘れていた…。今までの誕生日は試合にも出られないことが多かった。目が痛いけど、うれしいっす」。真っ赤な目で最高の誕生日に酔いしれた。

 内外野5つのポジションをこなす小池の役割は「スーパーサブ」だ。縁の下でチームを支える男の嗅覚(きゅうかく)が反応したのは6回だ。左翼和田が打球を追ってフェンスに激突。右脇腹を気にする和田を見た瞬間、小池はベンチ裏に消えた。出番に備えて素振りを始めた。案の定、その裏にヒットを放った和田に代わって代走で起用されると、そのまま5番を任されてヒーローになった。「いいな。シーズン中に誕生日があるって。オレなんか1度もないぞ」。12月9日生まれの落合監督は代役の大仕事ににんまりだった。

 今季は開幕から5打席ヒットなし。数試合に1度しかめぐってこない打席での凡退はこたえた。器用さゆえにチーム打撃に徹してしまう小池に、落合監督がひと声かけた。「三振でもいいから、思い切り振ってこい!」。サヨナラの場面、追い込まれながらも貫いたフルスイングがドラマを生んだ。指揮官は次も勝負どころで小池を指名するだろう。連勝街道を走るチームには、必ずこんな名脇役がいるものだ。【鈴木忠平】

 [2010年5月16日11時17分

 紙面から]ソーシャルブックマーク