<阪神3-7楽天>◇16日◇甲子園

 交流戦1勝3敗スタートに募る不安は、ブラ砲の歴史的な快挙で忘れましょう。阪神クレイグ・ブラゼル内野手(30)が3試合連続の14号ソロを放ち、リーグトップの座を守った。15日の岩隈に続いて田中マー君からのアーチで、楽天2枚看板の連続撃破は史上初となる偉業。貯金を5に減らして4月21日以来の3位転落となったが、助っ人大砲が当たっている限り、トラはまた走りだせる。

 風を味方につけた。ブラゼルが3点差の4回1死、田中の初球146キロをフルスイングした。高く上がった打球は強い浜風に乗って左翼スタンドに吸い込まれた。2点差に迫るソロ。ベンチ前で両腕を引きつけてから空に広げるお得意のパフォーマンスをさく裂させた。

 「甲子園でのホームランの打ち方だね。崩されずに良い形でしっかり打てたし、風もファンの声援もひと押ししてくれたと思う」

 試合に敗れても、価値ある一撃だった。15日の岩隈に続いて田中から1発。楽天が誇る右腕2人が同一カードに先発し、その2人から本塁打を放った初の打者になった。「昨日と今日はいいピッチャーと対戦している」とブラゼル。これで13日日本ハム戦から3戦連発で巨人ラミレスと並ぶリーグトップの14号。シーズン換算で約51本とペースアップした。

 阪神2年目の進化がある。フルスイングが身上で三振数はリーグ3位の45個だが、打率は3割1分4厘。「常に逆方向を意識しているわけじゃないけど、今日はそうなった」。状況に応じて外角に沈む変化球を左方向に安打することができる。和田打撃コーチも「ボール球を振っているけど3割以上を残している。いかにストライクゾーンを的確にとらえているかだ」と認める。

 本拠地でB砲が打席に向かう際のテーマ曲は昨季と同じ大好きなカントリー音楽だ。12日に対決した日本ハムのケッペルは「彼とは米国でも対戦したけど、アメリカのころから似たような曲を使っていた。マウンドで聞いて、思わず笑いそうになったよ」。ただテーマ曲は同じでも、ブラゼルの打撃スタイルは確実に変化、いや進化している。

 交流戦は1勝3敗と黒星先行で中日に抜かれて3位に転落。ただブラゼルは「今日はチームとして勝てなかった。そういう時もある」。岩隈&マー君に一撃をぶちかましたブラゼルがいれば、パ・リーグの好投手たちも怖くない。【益田一弘】

 [2010年5月17日11時39分

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