<日本ハム7-1巨人>◇18日◇札幌ドーム

 日本ハムが本拠地札幌ドームで巨人に快勝した。1点先制された直後の3回、2死から二岡智宏内野手(34)高橋信二捕手(31)糸井嘉男外野手(28)の3連打に敵失も絡んで4点を奪取。6回にも2死から金子誠内野手(34)森本稀哲外野手(29)の長打で3点を追加し、一気に引き離した。ここぞの場面での集中打による鮮やかな逆転劇で、セ首位を独走する巨人を倒した。借金8でパ最下位は変わらないが、交流戦は4勝1敗で首位タイに躍り出た。

 目の前にある、寂しい現実を忘れさせた。日本ハムがパ・リーグ最下位とは思えない横綱相撲で、巨人から会心の白星を奪った。09年の日本シリーズの再現だが、対照的なチーム状況。強力な相手を前に、底力が目覚めたかのような要所での集中打で粉砕した。「順位は一番下。1試合1試合やっていくだけ」。梨田監督は控えめだったが、エンジンのかかりを確信するような笑みがこぼれた。

 巨人のような1発がある役者が少なくても、持ち味の巧者ぶりを発揮した。3回に1点を先制されたが、その裏に2死一、三塁として二岡が右前へ同点適時打を放ち、猛攻の起点ができた。高橋、糸井の3連続適時打で一挙4点を奪い逆転。6回にも2死から、金子誠の左越え適時二塁打、森本の右中間三塁打で3点を追加。巨人にはダメージ十分の、2死からの計5本の適時打で全7得点を奪った。

 セオリーを実践したからこそ、要所で勝った。二岡と森本の一打はそれぞれ初球、カウント0-1から。ともに四球直後のファーストストライクを狙い打つという基本に忠実だった。古巣との対戦で4番に座った二岡は「四球の後だったからね。チャンスで打てて良かった」と涼しく振り返った。先発ケッペルが力投でつくったリズムに、個々が冷静に局面を読んで乗っていった。

 交流戦開幕から3勝1敗と勢いに乗り、臨んだ今カード。水面下では少し揺れていた。清水外野守備走塁コーチの実母幸江さん(享年82)が17日に死去。喪主として通夜と告別式に参列するため、今カードの帯同を見送った。同コーチは、最後までユニホームを一時でも脱ぐことを拒否したが、球団と高校の先輩にあたる梨田監督らが説得し、この日は母との別れのセレモニーへと足を運んだ。

 ベンチでは首脳陣の中で一番声を出すムードメーカーの1人。森本は「寂しかった。試合前には清水さんのために勝ちたいと思っていた」と神妙に白星を喜んだ。グラウンド上でのプレーだけではない一体感。正真正銘の全員野球で、巨人を打ち破った。今季残り100試合をちょうど切った、この日。奇跡的な巻き返し劇を狙う起点ができた。【高山通史】

 [2010年5月19日10時49分

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