日本ハム・ダルビッシュ有投手(23)が「伝説」に挑む。梨田昌孝監督(56)が25日、都内のホテルで行われた「マツダオールスターゲーム2010」の開催概要発表記者会見に出席した。近年の球宴では、投手の登板が2イニングに限定されるケースが一般的。だが、2回で6者連続三振に取っていた場合に限り、同監督は3イニング目にゴーサインを出し、71年に江夏豊(阪神)が記録した9者連続奪三振の大記録へ挑戦させる考えを明かした。

 「伝説」への門扉が開かれる。巨人原監督とともに登壇した梨田監督は、球宴でのダルビッシュについて「もしそこまで6連続(三振)を取っていたら、(次のイニングも)『行け』という命令は当然あっても…、ね、原監督」とニヤリ。条件付きではあるが、「登板は2イニング」という限定を解除し、江夏氏の9者連続奪三振に挑戦させる考えを明かした。

 オールスターが原則、年2試合となった89年以降、公式戦への影響も考慮し、先発投手は2イニングで降板することが一般的となった。梨田監督も「大事な選手を預かる身だし、今は2イニング目にいかせるのでさえも勇気がいる。9者連続三振なんて、もうありえない記録」と否定的ではいる。だが奪三振が続いていけば、当然ファンの期待が高まることも予想され、3イニング目に挑戦権がかかる場合のみ、ゴーサインを出すことにした。

 今季のダルビッシュの活躍は、伝説の大記録達成を予感させる。カーブ、スライダー、フォークなどの多彩な変化球に加え、魔球「ワンシーム」を武器に、10試合の登板でリーグトップの90奪三振。開幕から5試合連続2ケタ奪三振と快投を続けてきた。この日の会見にゲストとして出席した江夏氏も、注目選手にダルビッシュと杉内を挙げ「(三振は)オールスターだから取りやすいというのもある。公式戦だとバントがあったり、ミート中心になったりするから」と期待した。

 09年の球宴では巨人ラミレスの打球が右肩を直撃し、1イニングでマウンドを降りたダルビッシュ。1年の時を経て巡ってくる夢の舞台に、特別な思いもある。梨田監督が「(9連続三振を)もし取ったら最優秀選手賞だけじゃなくて、NPBは他にも用意しないとダメだろう」というほどの大偉業。今のダルビッシュにはそれを期待させる圧倒的な力がある。【本間翼】

 [2010年5月26日11時23分

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