<阪神1-3西武>◇26日◇甲子園

 手負いの鉄人ヒットや!

 右手人さし指の故障で今季初めてスタメンを外れた阪神鳥谷敬内野手(28)が、9回に代打で登場し、西武5番手シコースキーから右前打を放った。連続フルイニング出場は途切れたが、歴代17位の連続試合出場を792試合に更新した。チームは反撃及ばず、連勝は2でストップ。それでも、鉄人金本の背中を追ってきた鳥谷の闘志は衰えない。

 この男はやはり、グラウンドが似合う。バッターボックスに向かうだけで大歓声。鳥谷はテーピングを巻いた右手人さし指で、強くバットを握った。

 鳥谷

 どんどん真っすぐで押してくるピッチャー。振っていこうと思った。

 3点を追う9回1死。桜井の左越えソロで2点差に迫り、反撃ムードの中で代打登場。西武の守護神シコースキーが投じた初球、内寄り高め148キロを強振した。悔しさを一振りに込め、痛烈な打球で一、二塁間を抜いた。

 鳥谷がいない。試合開始前のスコアボードに違和感があった。25日ロッテ戦(甲子園)の試合前練習、ノックを受けた際に右手人さし指をボールで突き、つめと皮の間が切れた。テーピングを施して先発出場した同戦は途中交代を余儀なくされ、連続フルイニング出場がストップ。患部は出血に加えて腫れも残り、スローイングに支障をきたす状況。この日は肋骨(ろっこつ)骨折の影響があった07年10月3日ヤクルト戦(神宮)以来、966日ぶりにスタメンから外れた。

 ぎりぎりまで先発出場の可能性を探った。試合前練習ではキャッチボール後、常川チーフトレーナーとベンチ裏へ。ノックは回避も、フリー打撃は敢行した。久慈守備走塁コーチは「本人がぎりぎりまで行けるかどうか判断した」。結論はスタメン落ち。チームに迷惑をかけたくなかった。通常メニュー外のダッシュで体を整え、1年目の04年9月10日横浜戦(横浜)以来、2084日ぶりの代打出場。最後の最後に聖地を沸かせ、延長戦に入れば守備に就く予定もあった。

 これで歴代17位の792試合連続出場。現役選手では金本、巨人ラミレスに次ぐ数字を継続するが、記録について試合前に首脳陣と話し合ってはいない。ただ、勝利に貢献する形を模索した。真弓監督は「打つ方は問題ない。守れるなら先発で行けるから。明日辺りは(守備に)就いているかもね」。誰もが早期の回復を期待している。

 肋骨(ろっこつ)が折れても、右肩を痛めても、足を痛めても、ナインと激突しても、当たり前のように試合出場を続けてきた。金本の背中を追う、虎の鉄人の継承者。驚異的な回復で、1日も早いスタメン復帰を目指す。【佐井陽介】

 [2010年5月27日11時15分

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