<オリックス3-4中日>◇1日◇スカイマーク

 オレ竜が執念の逆転勝利で連敗を止めた。1点を追う9回、谷繁元信捕手(39)が逆転の2点タイムリーを放った。落合博満監督(56)は7回の攻撃前に自ら円陣を招集すると、ビハインドの場面で高橋、浅尾の両セットアッパーを投入するなど勝利への執念を見せた。これにナインがこたえる形で今季初の4連敗を阻止。これでオリックスに08年から8連勝と、お得意様を相手に息を吹き返した。

 最後はベテラン谷繁のしたたかな一撃だった。1点を追う9回1死二、三塁。オリックス守護神レスターの変化球に食らいついた。鈍い当たりは右前にポトリと落ちる逆転の2点タイムリー。「最悪でも同点と思っていた。飛んだところがよかった。何とか連敗を止めたかったからね」。負ければ今季初の4連敗で貯金が消滅する。連敗阻止にかけるチームの執念が、この一打で結実した。

 今季2度のサヨナラ打を放つなど、打率2割1分5厘の男は勝負どころで抜群の強さを発揮する。この夜もそうだった。レスターは2四球と犠打でピンチを招いた。ただ、制球に苦しむ相手に対し、谷繁は初球から振っていった。「去年対戦した時のことを覚えていた。決して制球が悪い投手ではない。だから振っていった」。過去の配球データをいつでも引き出せるという一流捕手ならではの“高性能記憶装置”が働いた。事実、レスターは2球連続でストライクを投げてきた。初球空振りの後、2球目を狙い通りにしとめた。

 終盤3回で4点を奪っての逆転劇、導火線に火をつけたのは落合監督だった。打線が相手先発近藤に対して6回まで4安打無得点、9三振を奪われた。得点の気配すらなかった7回の攻撃前、自らベンチで円陣を招集した。6回には打撃コーチが選手を集めていたにもかかわらず、指揮官が招集するのは異例だ。「みんなでやろうって、なった」。谷繁が振り返ったように、この直後に反撃の口火となる和田のバックスクリーン弾が飛び出した。

 さらに落合監督は7回からセットアッパー高橋、8回には浅尾を投入した。ビハインドの場面で2人の登板は5月15日オリックス戦(ナゴヤドーム)、同じくレスターから9回に2点を奪ってのサヨナラ勝ち以来。まるで2週間前のドラマを再現するようなタクトに、選手が結果でこたえた。

 「なんでやらないんだ。やればできるじゃん。なんでよそ行きの野球をやるんだ」。最後に見せた選手たちの発奮に落合監督は笑みを浮かべた。ただ、自らの円陣招集についてはこうかわした。「何も言っていない。言って動くんだったら、とうの昔に言ってるよ」-。グラウンドで発露した勝利への執念はポーカーフェースの裏に隠していた。【鈴木忠平】

 [2010年6月2日11時31分

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