<阪神9-2ソフトバンク>◇6日◇甲子園
まさに大黒柱だ。阪神久保康友投手(29)がソフトバンク打線を6安打2点に抑え、今季3度目の完投で4勝目を挙げた。先発のやりくりが苦しい中、チームの全完投を1人で記録。打っては6回、自らの判断で送りバントをバスターに切り替え、会心のタイムリーを放った。ここ5試合勝ち星から遠ざかっていたが、投げて、打っての活躍で、チーム30勝目。首位巨人に3・5ゲーム差に迫った。
最後の打球は、体を張って受け止めた。9回2死走者なし。柴原にはじき返された123球目が、目の前に迫っていた。体をくの時に曲げ、包み込むように捕球。一塁送球でゲームセットだ。「ホッとしています」。4月28日ヤクルト戦(神宮)以来6試合ぶりの白星を、そう振り返った。
最大のピンチを、細心の注意で乗り切った。1点勝ち越した直後の6回だ。1死一、三塁で打席にペタジーニ。「四球はしょうがないと思って、勝負をかけました」。初球はアウトコース、2球目はインコース。ともに際どいボール球で目先を変える。フルカウントからフォークで勝負。怪力助っ人のバットが空を切ると、飛び出した一塁走者多村が挟まれ、三振ゲッツーでピンチを脱した。
1人で投げ切ることしか考えていなかった。安藤、能見、岩田が不在。日程に余裕ができる交流戦でも、投手陣のやりくりは厳しいまま。中継ぎ陣に負担はかけられなかった。「6、7回ぐらいから、もう行くしかないと思いました」。1つずつアウトを重ね、ゴールにたどり着く。まさにエース級の働きだった。
投げるだけでない。6回1死一、二塁の打席。初球にバントの構えを見せると、ソフトバンク内野陣が一斉に動きだした。「あそこでバントをしたらゲッツーになると思った」。自らの判断で、バスターに切り替えた。真っすぐをとらえた打球は、ポッカリ空いた二遊間を抜けるタイムリー。4点目をもぎ取った。
勝つために、打撃をおろそかにしないのが久保流だ。シーズン中は、投手にもかかわらず1人室内練習場にこもり、マシン相手にバットを振り続ける。ただ打つのではなく、バントやバスターも繰り返してきた。関大一高3年の夏に出場した甲子園、3回戦の滑川(埼玉)戦で本塁打を放ったように、打撃センスは抜群。だが、それ以上に、昨年DH制のパ・リーグから移籍して以降は、打撃を仕事の一部ととらえている。今季挙げた打点は4つ目だ。
交流戦歴代3位の通算15勝目。昨季までトップだったが、急に勝てなくなっていた。それでも「昨日より今日、今日より明日。何かを変えていかないと成長がなくなりますから」。投球チャートを見直しては微調整を加え、打撃にも貪欲(どんよく)に取り組んだ。
今季5試合目の登板で甲子園初勝利。捕手が遠く見える錯覚に悩んでいたが、負のイメージもぬぐい去った。元祖交流戦男が誓った。「交流戦で貯金をつくって、勢いをつけていきたいと思います」。大黒柱として、チームを引っぱっていく。【鎌田真一郎】
[2010年6月7日11時42分
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