<ロッテ2-4阪神>◇12日◇千葉マリン

 トンネルを抜けると、千葉マリンで心地よい風が吹いていた!?

 真弓阪神が7度目のトライでついに交流戦勝率を5割に戻した。ブラゼル、城島の1発に続き、4番金本知憲(42)が適時打&6号ソロで完全復調を果たした。会心の1勝で真弓明信監督(56)は昨季の就任以来、通算100勝に王手。13日も白星で締め、スカッと3連勝フィニッシュを飾る。

 アニキのバットが重い扉をこじ開けた。勝てば今交流戦7度目の挑戦にして初となる5割到達。負ければ勝ち越しが消滅する大事な一戦だった。「打ったのはスライダー。必死です」。試合中、広報を通じて出した金本の言葉は、チームの思いと重なっていた。

 2点リードの5回。2死二塁の好機で打席に入った。1、2打席目とも、走者を置いて凡退していた。7日ソフトバンク戦(甲子園)から数えて12打席も音無しだった。マウンド上には先発左腕吉見。同じ相手に3度失敗することは、プライドが許さなかった。

 カウント1-1からの3球目。外角低めスライダーに、大きく体勢を崩して空振りした。ここで一度、打席を外して息を吐き、神経を集中させる。直後の4球目。直前の空振りよりもさらに外角へ制球された、見送ればボール球に思い切り腕を伸ばして食らいついた。ライナー性の打球が右中間で弾む。2日楽天戦(Kスタ宮城)以来、16打席ぶりの適時打を執念のスイングで運んだ。

 「カネ(金本)の3点目が大きかった。打つ前までは強く引っ張ろうとしてまったく(タイミングが)合ってなかったのに、最後で修正するあたりはさすが。追い込まれてから修正して打った」。和田打撃コーチも4番の目覚めを喜んだ。

 今季自己ワーストタイとなる14打席連続無安打を回避し、息を吹き返した。7回にはロッテ3番手左腕の古谷から、3打席目と同じような外角スライダーを一閃(いっせん)。打球はあっという間に右翼席へと吸い込まれた。こちらは8試合ぶりとなる6号ソロ。「新井さん流に言えば、チームのために食らいついていきました」。連続無安打という長いトンネルを抜けると、会心のアーチが待っていた。アニキもすっかり冗舌に戻っていた。

 この日の2安打で通算安打が2316本となり、榎本喜八氏(西鉄)を抜いて歴代単独14位と順位を上げた。すぐ上の13位には23本差で「ミスター赤ヘル」こと山本浩二氏(2339本)が待ち受ける。「あの安打(5回の適時打)で気持ちも楽になったんだと思う。これで状態も上がってくるよ」と和田コーチ。交流戦最終戦となる今日13日のロッテ戦にも勝って勝ち越しを決め、18日から再開するリーグ戦にも弾みをつける。左翼守備に就く完全復帰を見据える金本にも交流戦の“忘れ物”はなくなった。【石田泰隆】

 [2010年6月13日10時53分

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