<オリックス1-6ソフトバンク>◇16日◇京セラドーム大阪

 ただの負け戦(いくさ)にするわけにはいかない。オリックスの「暴君竜」ことT-岡田外野手(22)が20号ソロで一矢を報いた。同球団の日本人で20本塁打を記録したのは03年の山崎(現楽天)谷(現巨人)以来7年ぶりだ。

 「大坂夏の陣」と銘打たれた一戦。オリックスで初めて採用された赤い戦闘服をまとった。真田幸村ならぬ「岡田の赤備え」。T-岡田も登録名の由来になったティラノサウルスの漢名「暴君竜」と名前を変えて登場した。

 和製の“大筒”が砲弾をぶっ放したのは8回だ。甲藤の146キロを低い弾道で中堅右へ。「打った瞬間、いったと思いました」。5回に本塁打王を争うソフトバンクの舶来砲・オーティズが21号2ランを放っており、負けじとアーチをかけた。だが、敵の砲弾攻撃に本丸の京セラドーム大阪は炎上し、0-6と落城寸前。反撃ののろしを上げても、時すでに遅しだった。

 場内放送で将軍と紹介された岡田監督は「(大勢が)決まったあとやからな。違う打席で打っていたら(展開が)変わる場面もあった。打線がつながらんから大量点にならん。タイムリー1本も出ないからな」と不機嫌だった。暴君竜は初回の2死一、三塁で見逃し三振に倒れるなどそれまで3打数で無安打。「あんなところで打ってもね。最初の打席で打てていたら…」とくちびるをかんだ。

 野球の大坂夏の陣はまだ2試合ある。連敗で借金は6月27日以来の2になったが、最後に放った一撃は「白旗は揚げない」という意思表示。天下取りを目標に掲げる岡田軍は簡単に討ち死にしない。

 [2010年7月17日11時43分

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