<西武4-5ソフトバンク>◇17日◇西武ドーム
ソフトバンク秋山幸二監督(48)の執念継投が、負けられない西武との直接対決で劇的な逆転勝利を呼び込んだ。勝利の方程式の一角、甲藤啓介投手(26)を3回途中から送り込めば、ビハインドの展開で摂津正投手(28)も2イニング登板。「SBM48」最速投入で流れを引き戻し、反攻への足がかりをつかんだ。
勝利のハイタッチで、ソフトバンクベンチの誰もが思っただろう。自分たちの手で流れを取り戻した、と。秋山監督の口調も熱が帯びる。「ここまで来たら気持ちなんだ。気持ちが強い方が勝つ」。異例の継投でつかんだ勝利だ。しかも、相手は首位を走る西武。興奮しないはずがない。
秋山監督が動いたのは、3回途中だった。同点に追いつかれ、なおも2死満塁。先発陽耀勲を、わずか57球で見切った。2番手に指名したのは、ここまで50試合登板し、摂津やファルケンボーグにつなげるポジションを確立した甲藤だった。「SBM48」そろい踏みは過去8度あったが、3回途中からは、もちろん最速投入。7番浅村を空振り三振に仕留め、一気に逆転を許さなかった。
甲藤は4回に失策やミスが絡んで3失点したが、勝利への集中力は途切れない。5回に金沢を挟むと、6回から2点ビハインドながら摂津をマウンドへ。8回に打線が逆転すると、あとはファルケンボーグ&馬原に託すだけ。きっちりとゼロ行進で終盤の逆転勝利を結実させた。
ここまでグッと我慢してきた成果とも言える。今季、摂津の3日連続登板は1度だけ。ファルケンボーグはなく「温存策」を取ってきた。昨年終盤にファルケンボーグが登板過多による右ひじ痛でリタイアしたことを反省し、夏場までベンチは耐える策をとってきた。高山投手コーチは言った。「この3試合は特別な試合。3つ全部取るつもりで行く。特別だから」。ついに、リミッター解除の「SBM」フル回転指令だ。
この日、球場には、秋山監督に頼もしい援軍も訪れていた。将来はプロゴルファーを目指す愛娘真凛ちゃんが、関東遠征の合間をぬって来場。夫人とともに、試合も2回まで観戦していた。互いにスケジュールがなかなか合わず、一緒の時間を過ごせないが、家族との一時が日々の疲れをとってくれたことは間違いなかった。
前カードで西武に3連戦3連敗を喫したとき、秋山監督は声を荒らげることなく、ナインに説いた。「試合はまだある。勝負は先にある。前を向いて行こう」と。SBM48最速投入は、勝負の夏が来た合図だ。【松井周治】
[2010年8月18日10時57分
紙面から]ソーシャルブックマーク




