<巨人10-4中日>◇26日◇東京ドーム

 巨人が6本の本塁打を放って中日に圧勝し、阪神から首位を奪い返した。1回、坂本勇人内野手(21)の先頭打者アーチで先制。4番アレックス・ラミレス外野手(35)が特大の40号3ランを放ち、プロ野球新記録となる8年連続の100打点を達成した。坂本は2回に、ラミレスは7回にも本塁打を追加するなど10得点。先発の内海哲也投手(28)は4失点で完投し、6月24日ヤクルト戦以来の白星を挙げた。

 見届けるまでもなかった。ラミレスは打った瞬間、感触の残る両手を突き上げ、自軍ベンチを向いた。打球は左翼バルコニー席上部の看板の、さらに上の壁にぶち当たった。1回、坂本のソロで先制し、なお無死一、三塁。中日吉見から放った特大40号で、8年連続100打点のプロ野球新記録を樹立した。

 「最高だよ。王さんは伝説。日本だけじゃない。米国でも、ベネズエラでも、素晴らしいホームランバッターだと聞いていた。そんな人の記録を塗り替えることができたよ」。試合後のベンチ裏。感慨深げに切り出した。ひと言ひと言、丁寧に続けた。「巨人で達成したことに意味がある。素晴らしい選手がたくさんいたチームのユニホームを着てね」と、60年前の復刻ユニホームに包まれた大きな体は誇らしげだった。

 移籍3年目。ヤクルトで7年もプレーし、勝手知ったる日本野球。だが、伝統球団の重圧も感じていた。巨人軍74代4番打者として、26日で連続372試合目。本塁打王獲得を公言して臨んだ今季、開幕直後にこう漏らした。「巨人では打たないと、他の人に4番の座を取られしまう」。だからこそ、日々のルーティンが欠かせなかった。

 ただ、その営みを変える勇気も備えていた。9本塁打で33打点を荒稼ぎした4月。絶好の滑り出しにも悩んだ。打率が2割3分台と低迷。出した結論は、来日以来9年間、続けてきた練習内容の変更だった。目いっぱい長く持っていたバットを、ティー打撃では「コンパクトに打つため」と拳1個分、余らせた。直球だけで行っていたフリー打撃は、左投げの打撃投手に限り変化球も交えてもらうようにした。「体が開いている。外からの変化球を呼び込んで打つんだ」。打率は上昇に転じ、現在2割8分台。偉業の陰に、貪欲(どんよく)な姿勢があった。

 4点差に迫られた7回には、41号2ランで試合を決めた。計7本塁打の空中戦で、やはり存在感は別格だった。原監督は「調子にかかわらず自分をコントロールし前向きにプレーする。尊敬に値します」と最敬礼。一夜で首位奪回を果たし、ラミレスは「価値ある勝利。これからは簡単な試合はない。チームに貢献していきたい」とフォア・ザ・チームを強調した。止まらないバットは、4連覇のためにある。【古川真弥】

 [2010年8月27日8時33分

 紙面から]ソーシャルブックマーク