<阪神6-3横浜>◇2日◇甲子園

 いやあ~、阪神打線がホントにすごい。13安打で5試合連続15安打の日本記録は逃したが、今季37度目の逆転勝ちで5連勝。1点を追う6回。2死満塁から「代打の神様」こと桧山進次郎外野手(41)が逆転2点適時打を放ち、横浜には9連勝だ。城島健司捕手(34)の打率がジャスト3割に乗り、3割打者が6人。貯金は今季最多タイの16、巨人とのゲーム差も2に広げた。

 カウント2-0からタイミングを外されても、桧山は右手1本でボールを拾っていた。1点を追う6回2死満塁。前日までの猛打が一転沈黙し、重い雰囲気に包まれていた甲子園は、その瞬間総立ちになった。中前で弾む逆転の2点適時打。ミラクル5連勝を導き「(林の)敬遠は気にせんように。変に意識すると力むから。でも初球を見逃して“アチャー”となって追い込まれて…。でも何とか食らいついていこうと思ってました」と振り返った。

 一時は17打席無安打に陥ったが、ここ7試合は1発を含む7打数5安打と当たりが戻った。代打安打は通算115本となり、歴代6位に浮上した。「そうなんですか。初めて聞きましたが照れますね」と謙虚な「代打の神様」に、球団も来季契約を更新する方向で話を進めている。この日までに球団首脳による編成会議を開催。来季は42歳、20年目のベテランの残留が確実となった。

 ベテランの一打で息を吹き返した打線は触発されるように安打を重ねていった。7回に5安打を集めて3点を追加。右前打を放ち打率を3割に乗せた城島は、少し考えてから声を上げた。打率3割が6人そろったことを聞かれて「なんか…。『おれ待ち』みたいな言い方やめて。たまたま6人目っちゅーだけでしょ。おれ、ずっと打率3割に乗っていて(切ったのは)ここ何試合かだけでしょ。なんか『お前やっときたな』みたいな。なんで、おれ、戦犯扱い…」と苦笑いした。

 この日現在、打率3割は1番マートン、2番平野、3番鳥谷、4番新井、5番ブラゼル、7番城島。城島は捕手の立場から「相手に与えるプレッシャーは大きいと思う。大きいのを打つだけじゃなくて、後ろに後ろにつないでいく。全体でいい勝負をして、引っ張っていけばいい」と口にした。

 打率3割6人は03年のダイエーが記録。しかも同じチームが「100打点カルテット」を達成している。その一員だった城島は「あの時は1番村松さん、2番川崎がとにかく塁に出た。そして盗塁して、得点圏までいった。そりゃあほっといても打点は増える」と振り返る。

 6人が打率3割でフィニッシュすれば、03年ダイエーに並ぶ日本記録。ただ城島は「6人より7人、7人より8人、8人より9人がいい」。どこまでも打ち続ける究極打線に向かってスパークする。【益田一弘】

 [2010年9月3日8時38分

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