<広島5-11阪神>◇5日◇マツダ
球児のメモリアル・セーブで広島での短い夏休みも終了です。藤川球児投手(30)がプロ通算150セーブを挙げる展開でトラは連敗ストップ。9回の攻撃で自らプロ初の適時打を放ち、快勝と快挙に花を添えた。球児の一打がゲーム20安打目で、阪神はシーズン4度目の1試合20安打をマークした。新世紀ダイナマイト打線が激しく目覚めて、首位を死守。7日から0・5差に迫ってきた2位中日をたたく。
球場からバスまでの帰り道。髪の毛から汗をこぼしながら、球児は優しい笑みを浮かべた。自身の大記録より、かわいい後輩の快投に目尻を下げた。
藤川
秋山が2勝目をあげたことが大事です。
残暑の広島デーゲームは暑く、熱かった。5位カープに2連敗。中盤で7点リードを奪うも2点差に迫られ、再び突き放し…。3点リードの8回2死一塁。久保田からバトンを受け、当たり前のように失点を許さなかった。
藤川
暑かったけど、しっかり投げないと。
5番嶋は内角高め152キロで一邪飛。8月24日広島戦で痛恨の1発を浴びた相手を、3球連続直球勝負で完ぺきに封じた。6点リードとなった9回は先頭に死球を与えながら、後続3人をピシャリ。2者連続の直球空振り三振で試合を締めた。大差勝利が多い10年虎に身を置き、調整の難しさを抱えながら23セーブ目。負ければ首位陥落の1戦で、史上10人目の通算150セーブを達成した。
2日前、長年バッテリーを組んできた矢野が引退を表明。その前日、連絡を受けた。「おまえの球を受けられて良かった」。恩人の言葉に胸が熱くなった。絶対的リリーバーと女房役の関係となった05年から多くの苦楽をともにした。「自分をここまで上げてくれた一番の方。もう1回ユニホームを着て甲子園でプレーしてもらえるように」。優勝を決め、矢野さんに引退試合を-。新たなモチベーションがわいた。
今年5月、地元・高知で“奇跡”が起きた。昨年に落馬事故で左目を失明した高知競馬のトップジョッキー宮川実騎手が、1年間の懸命なリハビリを経て、レースに復帰。05年オフに球児が協賛した同競馬のレースで勝利騎手となり、表彰した相手だった。復活の事実を知った球児は同騎手の苦労を想像するかのように、慎重に言葉を選んで“努力”と口にした。
「自分の仕事が本当に好きなんでしょうね。すごいというよりも…とにかく努力されたんだと思います」。勝負の世界、一線級で戦い続けるのには並大抵ではない“努力”が必要だと知っている。そんな“努力”を20年間続けた矢野がユニホームを脱ぐ。絶対に花道を用意したい。
8月1日・中日戦以来の「イニングまたぎ」登板はトラがラストスパートに入ったことを意味する。9回の攻撃では1死二、三塁でプロ初タイムリーを左前へのクリーンヒットで飾った。偉業も初の快感も、すべて勝利のため。2位中日と0・5ゲーム差で7日からは直接対決3番勝負だ。モチベーションには事欠かない。頂点へ、とにかく右腕を振る。【佐井陽介】
[2010年9月6日12時3分
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