<阪神1-0中日>◇7日◇スカイマーク
一戦必勝の球児が、勝利の女神を振り向かせた。阪神藤川球児投手(30)が1-0の8回に登場。9回、森野にあわや逆転3ランの大飛球を打たれたが、台風9号の強風も味方に、今季3度目の2イニング登板を無失点でしのいだ。絶対に落としたくない一戦を取り、2位中日に1・5ゲーム、3位巨人には3ゲーム差。今日にも優勝マジック18か19が点灯する。
9回2死一、二塁から荒木の打球が舞い上がると、藤川球は少し心配そうな顔をした。浅井のグラブに収まると両手をパンッ!
まさに薄氷を踏むような展開。その分だけ、充実感が全身にあふれた。
いきなりハプニングから始まった。降雨の影響でマウンドがきれいにならされ過ぎていた。「びっくりした。誰も使っていない(ような)状態で」と面食らった。球がいかない。球速表示も140キロ台前半と上がらない。予想外の逆境でも「とにかくゼロに抑えるだけ」と必死に集中した。
1点リードの8回、大歓声を受けてマウンドへ。しかし1死一、二塁とピンチを招いて森野への初球もボール。ここで城島から「3人で2つ(2アウト)だから」と言葉をかけられた。が、森野に大飛球を浴びた。「もうダメだと思った」。中堅浅井がフェンスを背に好捕するとその場で脱力。その瞬間は強風が上空で舞っていた。「台風が近くてラッキー」と天運にも感謝した。その後、2死満塁でブランコを146キロで見逃し三振に打ち取った。
1-0の勝利は今季初めてなのは知っていた。2イニングを投げたのは今季3度目。8回の頭から「抑え」として2イニングを投げ切ったのは2度目だ。異例の前倒し登板だったが、本人は腹をくくっていた。実は勝負どころでの“酷使”を志願していた。
「今季一番の大仕事になると思っていた。始まる前からこの3試合が勝負と予感していた。頭(初戦)を取れれば優勝に近づくと思っていた。3試合のどこかで長いイニングを、とお願いしていたんです」。
優勝を知る男の目には、この中日戦が144分の1をはるかに超える「ヤマ」に映っていた。くしくも9月7日だ。05年、2位中日を延長の末に下し、3ゲーム差と引導をわたしたのも9月7日だった。「こういう試合をしたかった。競っても大丈夫という。そうすれば負ける要素がなくなるから」と言い切った。猛打だけではなく、投手戦でも強い虎を誇示した。
「何とかこの試合を取りたかったから2イニング託した」と真弓監督。8日に勝つか引き分け、巨人が負ければついにマジック「18」か「19」が点灯する。藤川の予測通り、数字上でも大きな節目が来た。不規則に揺れ動くペナントの流れが、今年も9・7を境に阪神になびき始める。【柏原誠】
[2010年9月8日11時59分
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