<西武4-2ロッテ>◇11日◇西武ドーム

 首位西武に優勝へのマジックナンバー「8」が今季初めて点灯した。先発の涌井秀章投手(24)が、7回を3安打1失点。厳しい優勝争いの中、約1カ月間勝ち星から遠ざかっていたエースが、今季最多の3万3920人が詰めかけたデーゲームで、ほぼ完ぺきな投球を披露した。2位ソフトバンクがナイターで日本ハムに敗れたためマジックが点灯。2年ぶりのリーグ制覇は最短で18日に決まる。

 苦しんだ分だけ、涌井の思いは報われた。「本当に1カ月迷惑をかけてたんで、ホッとしてます」と、お立ち台でひと息ついた。「相変わらずの立ち上がりの悪さ。2回以降も良くはなっていない」と言いながら、1回に先制された後は立て直した。3回以降は無安打。直球主体の序盤から、カーブやスライダーの比率を徐々に上げることで相手の順応を許さなかった。

 優勝マジック点灯がかかった試合。「それは頭にあった」と気合十分も、交代は早かった。球数が増えるほど調子を上げるタイプだけに、98球は少なかった。「自分の中でもう少しいけたかな」という思いもあったが、渡辺監督は何より勝ち星をつけさせたかった。「エースが1カ月も勝っていないのはチームにもよくない。降板の理由はいろいろある。前回があんな試合(逆転サヨナラ負け)だったし、前に足がつったりしたこともあった」と説明。肉体的にも精神的にも無理をさせず、次につながる1勝を最優先した。

 悪いことが重なった1カ月だった。13勝目を挙げてから3試合で勝てなかった。特に前回登板の4日楽天戦(Kスタ宮城)は、5点リードの9回に完投目前から5連打を浴びてKO。チームもサヨナラで敗れた。2日後の6日未明には、都内で交通事故を起こした。ケガはなかったが、追い打ちをかけるように、翌7日には両親が乗った車が追突事故にあうなど、アクシデントが続いた。

 事故で首を軽く打った母たつ子さんは「ワクは『病院行かなくて大丈夫?』とメールをくれました。悪いことが続いたので、これをきっかけにいい方にいってほしい」と、応援に駆けつけたスタンドで祈るように見つめていた。父孝さんは、自宅の千葉から長野の善光寺まで一家安全を願い、厄払いに行ってくれた。心配をかけた両親に感謝をささげる14勝目でもあった。

 2位ソフトバンクが敗れたため、ついに優勝マジック8が点灯した。渡辺監督は「いきなり1ケタが出るのはモチベーションが上がるけど、普段通りの野球をしたい」と平常心を強調した。エースともども生みの苦しみを乗り越え、優勝までフルスロットルで突っ走る。【亀山泰宏】

 [2010年9月12日8時52分

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