<巨人11-6広島>◇11日◇東京ドーム

 決めたのは、やはりこの男だった。6-6の7回1死満塁。巨人アレックス・ラミレス外野手(35)が広島大島から勝ち越し打を放った。2球で2ストライクと追い込まれたが、「外の球を読んでいた」とチェンジアップをしぶとく右前に落とした。2度リードしながら追いつかれる嫌な流れを断った。

 縦横無尽だ。リーグ単独トップ43号2ランを含む4安打固め打ちで、打率3割は目前。リーグトップの打点も5つ増えて114。通算1094打点に達し、原辰徳の1093を抜き歴代28位となった。「勝利に直接つながるから一番重視している」打点で、尊敬する原監督を上回った。

 活躍を見せたい人がいた。球団ニューヨーク事務所勤務で一時帰国中の宮村氏が観戦。昨季までの2年間、通訳として公私に支えてくれた恩人だ。開幕前、転勤が決まった同氏を送る夕食会で熱く語った。「君がいなくなったから調子を落としたと言われないよう、心配をかけないよう、今年も頑張るよ。将来、僕が監督になったら、日本に戻って、また助けてくれ」。近く再渡米する同氏の目の前で、男の約束を守った。

 投手陣の失点を打線がカバーした。16日ぶりの本拠地で大量11点を奪い、8月20~24日に4連勝して以来の連勝だ。その立役者ラミレスを、原監督は「良いところで流れを相手に渡さなかった。価値ある4打席でした」と褒めた。首位中日と2・5ゲーム差は変わらないが、2位阪神には1ゲーム差と迫った。逆転Vへ、まずは虎のしっぽが見えてきた。【古川真弥】

 [2010年9月12日8時59分

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