<ヤクルト2-3巨人>◇14日◇神宮

 ガッツの季節だ!

 逆転Vだ!

 巨人が3番小笠原道大内野手(36)の活躍で激戦を制した。3回に先制適時打、5回には33号ソロ。9月の成績は打率3割7分8厘、4本塁打と絶好調の「ミスター9月」がチームを引っ張り、ヤクルト戦の連敗を5で止めた。敗れた2位阪神とはゲーム差なし。2・5差の中日を必死に追い掛ける。

 土壇場のピンチに、小笠原はさりげなく動いた。2点リードの9回。クルーンが1点差に詰め寄られ、さらに四球を連発。逆転サヨナラの走者が出ると、一塁からサッとマウンドへ向かった。誰よりも早く投手の元へ。いつも「みんなで戦っている」と話す小笠原らしかった。直後、代わった山口が抑え逃げ切った。ようやく笑顔になり、ハイタッチでベンチに帰った。

 運も味方に付けた。3回2死一、二塁、ヤクルト松井光の変化球が止めたバットに当たった。三遊間を破る先制打に「ラッキーのひと言」と照れた。2-1の5回には李恵践から左越えに33号ソロ。「風に乗ってくれたよ」と再び“運”を口にしたが、外寄り低めの143キロを逆方向に放り込んだ。運だけじゃない、力と技の1発だった。

 1回の二塁打と合わせ、今季8度目の猛打賞。通算1977安打とし、2000の大台まで残り23。今季中の偉業達成も見えてきたが、努めて冷静だ。「全く気にしていないと言えばウソになるけど、試合になればその状況でベストを尽くすだけ。四球でも安打でも」。サイクル安打のかかった7回には四球を選んだ。4打席すべて2死から出塁。勝利だけ考えた証拠だ。原監督は「誰かが打てなければ誰かがカバーするということ」と称賛した。

 4連勝しても、首位中日を2・5ゲーム差で追う苦しい状況は変わらない。だが、小笠原は「1戦1戦、なんとかしようとやっている」と弱音は吐かなかった。変わらない姿に、坂本は「野球に取り組む姿勢が一番勉強になります」。他球団の人も同じ目で見ていた。今季から巨人に加わったターニー・トレーニングコーチは、横浜にいた昨季まで、小笠原の練習姿勢を若手に見習わせていた。「ベテランがルーティンを率先してやるのが、巨人の強いところ」と述懐した。

 原監督が勝負どころと位置付ける9月。10試合を終え、打率3割7分8厘、8打点、4本塁打。巨人移籍4年目。過去3年、すべてリーグの頂点に立った。毎年、9月の打率は3割を超えた。不断の練習の積み重ねが、シーズン終盤に結果となる“ミスター・セプテンバー”の真骨頂。それでも、慢心はない。勝利の余韻もつかの間、「残り何試合じゃない。明日も(勝利を)積み上げていかないといけない」と切り替えた。本当に余韻に浸るのは、4連覇を成し遂げる瞬間まで取ってある。【古川真弥】

 [2010年9月15日9時28分

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