<横浜1-2阪神>◇16日◇横浜

 がけっぷちの虎が息を吹き返した。助っ人マット・マートン外野手(28)が3安打を放ち、初代ミスター・タイガース藤村富美男の球団記録(50年)に並ぶシーズン191安打を達成した。横浜に1点をリードされた8回、歴史的な一打から執念の逆転勝ちが生まれた。連敗を2で止めた阪神は、一夜にして2位に浮上。首位中日が負け、2・5ゲーム差に詰めた。あす18日からは巨人(甲子園)、中日(ナゴヤドーム)と6連戦。最強リードオフマンに率いられた虎が、負けられない戦いに挑む。

 グラウンドを離れれば、60年の歴史を塗り替えた男にはまったく見えない。試合終了直後のベンチ裏。「カミサマハ、ワタシノチカラデス!」。マートンは屈託ない笑顔を浮かべた。連敗を2で止める勝利がうれしかった。

 マートン

 神様が見守ってくれたおかげだね。もちろん、個人的な記録がうれしくない訳じゃない。でも、何と言ってもチームの勝利につながらないと。今日の1勝は大きいよ。

 また打った。初回は中前打、5回2死からは中越え二塁打。だが、いずれも三塁からホームが遠い。試合は5回終了後、降雨のため23分間中断。集中力が切れてもおかしくない状況でもあった。7回裏に先制され、1点ビハインドの8回表無死。横浜加賀の直球を右翼線に運び、重苦しいムードを一掃。3番鳥谷の右越え適時三塁打で同点のホームを踏み、4番新井の勝ち越し左犠飛を呼び込んだ。

 今季191安打目はメモリアルな1本だ。ついに50年藤村富美男のシーズン最多安打・球団記録に並んだ。「知らなかったよ。教えてくれてありがとう。素晴らしい選手と比べられて光栄だね」。元祖「ダイナマイト打線」の主軸で永久欠番・背番号10の持ち主。ミスタータイガースの大記録を60年ぶりに更新することは、もう間違いない。

 シーズン序盤と終盤。練習内容に明らかな違いがある。米国から自ら持ち込んだ、通常バットと比べて半分ほどの短いバットの使用法だ。序盤はティー打撃で毎日のように振り込んだが、今は握る機会が少ない。「短いバットは序盤にフォームの基礎を固めるために使うモノだから。ただルーティンだから同じことを毎日続ける、っていうのは意味がないと思っている」。常に練習の“意味”を考える姿勢が結果を生む。現在、シーズン214安打ペース。イチローの日本記録(210本)をも更新する勢いだ。

 3強で1人勝ち。巨人を抜いて2位に浮上し、首位中日に2・5ゲーム差に迫った。18日からはいよいよ巨人、中日6連戦。「勝ち負けで順位が入れ替わる大事な戦い。しっかりやりたい」。あきらめない。優勝は虎が奪ってみせる。【佐井陽介】

 [2010年9月17日11時15分

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