<阪神1-0巨人>◇18日◇甲子園

 息詰まる伝統の一戦を演出したのは阪神先発能見篤史投手(31)だった。7回6安打無失点。0-0の7回裏、自らの代打桧山が決勝打。右足骨折でリハビリ生活が続いたが、4月24日中日戦以来、うれしい147日ぶりの復活勝利を手にした。ユニホームを血に染めながらの力投だったが、出遅れた分も自らフル回転宣言。次回は中4日で、正念場6連戦のラスト中日戦(23日)に先発予定だ。

 大歓声の中、お立ち台に呼ばれた。戦線離脱した自責の念からか、能見は最後までポーカーフェースを貫いた。147日ぶりの復活星。赤く染まったユニホームが熱投を物語っていた。

 能見

 投げるからには0に抑えようと。必ず点を取ってくれると思っていた。

 三つどもえの激しい優勝争いも最終章。前回は15日横浜戦で中継ぎ登板。中2日で復帰3戦目を迎えたが「(リハビリで)休んでいたし、それは関係ない。今の自分にできることをしっかりやろうと思った」。得意の巨人戦。過去のデータは重要視しなかった。

 4回までの3イニングで得点圏に走者を背負った。違和感からか腰を気にしたり、左足付け根をたたくシーンもあった。「フォームがしっくりこないのが続いていたので。5回からはしっかり投げられた」。試合中の修正に成功し、7回6安打無失点。巨人ゴンザレスとの息詰まる投げ合いを制し、4月24日中日戦以来の4勝目を手に入れた。

 右足甲骨折から4カ月超のリハビリに耐え、戻ってきた。前を向く強さがあった。大阪ガスに所属した7年間。肩、ひじの故障に苦しみ、なかなか芽が出なかった。今年で最後かも…。戦力外通告で野球を奪われる恐怖におびえた。「小さい時から野球をやってきたんで。あの時と今では(辛さは)比べものにならない」。社会人5年目、02年の冬。監督から「壊れたらオレのせいにしろ」と熱いゲキを受け、生き返った。夢だったプロ入りの夢も果たし、今も野球を生業とする。先があるリハビリを辛いとは思いたくなかった。

 骨折直後、鳥取城北高時代の恩師、橋本謙元監督が電話をくれた。担当トレーナーは野球選手では症例が少ない骨折を知ろうと、他競技、外国の文献を読みあさってくれた。恩返しをしたかった。5回以降、ユニホームの左足、ベルト下付近に血の跡が見えた。左手が当たる場所だ。アクシデントがあったかは不明だが、快投は最後まで続いた。

 これでG戦は昨季から9戦負けなしの6連勝。次回は中4日で23日中日戦(ナゴヤドーム)に先発する。フル回転のG&Dキラーが目指すのは優勝だけ。「自分のせいで骨折した。なかなか取り戻せないと思うけど何とか貢献したい」。クールな能見が、聖地で声を張り上げた。【佐井陽介】

 [2010年9月19日11時15分

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