<阪神4-6巨人>◇19日◇甲子園

 ああブラゼル、新井よ…。阪神クレイグ・ブラゼル内野手(30)は敗戦の中で、巨人ラミレスに2本差をつける45号ソロを放った。ただタイトルに前進しても笑顔はなし。1回2死一、三塁で一ゴロに倒れるなど、アーチ以外の打点は13戦も遠ざかっている。4戦連続無安打の新井貴浩内野手(33)とともに、4、5番の打棒復活なくして竜追撃の勢いは生まれない。

 笑顔なきベース一周だった。生還したブラゼルの表情は、真弓監督らナインに祝福されても厳しいまま。赤く上気した顔は怒っているようにも見えた。

 4点を追う8回、久保の147キロ真っすぐを右中間席に運ぶ45号ソロ。キングを争う巨人ラミレスに目の前で2差をつけ、初タイトルをグッと引き寄せた。しかも13打席ぶりのHランプ。だが助っ人砲を支配していたのは、喜びではなく憤りの感情だった。「勝たないと意味はない」。矛先は自分に向いていた。

 1回2死一、三塁は藤井の変化球を引っかけ一ゴロ。3回1死一、二塁も変化球を打たされ、中飛に倒れた。先発メッセンジャーがいきなり5点を失ったが、どちらかのチャンスで打っていれば、早い段階で流れを呼び戻すことができたはず。「チームの勝ちが一番」と話す男にとって、大勢が決した終盤のソロは喜べるはずもなかった。和田打撃コーチは「中軸が打たないと点の入り方が違う」と悔やんだ。だがブラゼルも5番の仕事ができなかった責任を一身に感じていた。

 事実、タイムリー欠乏症に陥っている。本塁打以外のヒットによる打点は、3日広島戦が最後。この間13試合の6打点は5本のアーチによるもので、しかも4連続のソロだった。トータル打率は3割5厘あるが、得点圏では前日も1死満塁で投ゴロ併殺に倒れるなど2割5分9厘。しかもナイター打率3割2分3厘に対し、デーゲームは2割5分9厘という苦手も重なった。「自分だけが打ててないとイライラするし、早く輪に入って打ちたい」。そうこぼしたこともあるが、チームを勝ちに導く打点を量産できない焦りから、好機ほど力み過ぎの悪循環にハマっているのかもしれない。

 「これも野球だ」。ブラゼルは正面から現実を受け止めた。阪神では86年バース(47本)以来となる本塁打王が、目の前にある。だが目指すゴールは個人タイトルではなく、リーグ制覇だ。その一番の近道は、勝負強かったころの打棒を復活させること。痛い1敗を胸に刻み、20日こそ効果的な一撃を放つ。

 [2010年9月20日11時29分

 紙面から]ソーシャルブックマーク