<中日1-6阪神>◇23日◇ナゴヤドーム

 阪神マット・マートン外野手(28)が23日、中日最終戦の7回に17号ソロ本塁打を放ち、史上4人目のシーズン200安打を達成した。今季は大台到達が見込まれる選手がめじろ押しで、ロッテ西岡剛内野手(26)が198安打、ヤクルト青木宣親外野手(28)も197安打。大リーグでは安打数が伸びず、200本到達はイチロー(マリナーズ)だけに終わりそうな状況。日本のヒットメーカーがメジャーをしのぐペースで打ちまくっている。

 いつも冷静なマートンが興奮した。耳をつんざく大歓声の中、ホームベースを踏み、両手の人さし指を天に突き上げた。珍しいアクションは喜びの証し。大記録達成より、勝負どころでの1発に酔いしれた。

 マートン

 日本に来てからのことをチラッと思い出した。毎日プレーする機会を与えてくれるチームに感謝している。神様、家族、チームメート、ファンに感謝している。

 首位中日に2連敗。がけっぷちに立たされ、絶対に負けられない一戦だった。2点差に迫られた7回先頭。中日吉見の初球、内角136キロ直球をたたく。打球は左翼席中段に消える。4試合ぶりの17号ソロが中日の戦意をそぎ、逆転優勝への夢をつないだ。そして、史上4人目のシーズン200安打目となった。

 マートン

 とても光栄。この17本目は記憶に残るホームランになる。

 大記録は努力のたまものでもある。遠征先の朝はウエートトレーニングを志願。来日時、血圧測定ベルトの長さが足りなかった丸太のような腕は、片手懸垂を楽々5回クリアできる。太もも回りは70センチ前後。伊藤トレーニングコーチも「チーム1、2を争う体」と驚く肉体が安定感のあるフォームを生む。時にはスタンリッジから投手心理を勉強して練習で修正。「(米国時代と)打撃の考え方は変わらないけど日本に来た時より良い打者になれると思う」と成長を自覚する。

 3点リードの8回2死三塁からは中堅フェンス最上部に当たる適時二塁打でダメ押し。一時は本塁打とされながらビデオ判定に泣いたが、23度目の猛打賞で価値ある勝利に導いた。

 マートン

 自分のヒットが勝利につながったのがうれしい。この1勝は大きい。これからまだ10試合残っているし、まだ1位になるチャンスが残っている。

 贈呈された200安打記念球を眺める暇はない。阪神は11連勝を本気で目指す。【佐井陽介】

 [2010年9月24日9時29分

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