<中日1-6阪神>◇23日◇ナゴヤドーム

 奇跡の助っ人が奇跡の扉をノックした。がけっぷちの阪神が鬼門ナゴヤドームで快勝し、首位中日の自力優勝を消滅させた。マット・マートン外野手(28)の史上4人目となるシーズン200安打は7回、2点差に詰め寄られた直後の17号ソロと超貴重な一打だった。8回の201安打目で2打席連発と思いきやビデオ判定で二塁打に“降格”となる奥ゆかしさ?

 負けられない1戦を制し、11連勝フィニッシュでの大逆転優勝に望みをつなぎ留めた。

 いつも冷静なマートンが興奮した。耳をつんざく大歓声の中、ホームベースを踏み、両手の人さし指を天に突き上げた。珍しいアクションは喜びの証。大記録達成より、勝負どころでの1発に酔いしれた。

 マートン

 日本に来てからのことをチラッと思い出した。毎日プレーする機会を与えてくれるチームに感謝している。神様、家族、チームメート、ファンに感謝している。

 首位中日に2連敗。がけっぷちに立たされ、絶対に負けられない1戦だった。2点差に迫られた7回先頭。中日吉見の初球、内角136キロ直球をたたく。打球は左翼席中段に消える。4試合ぶりの17号ソロが竜戦士の戦意をそぎ、逆転優勝への夢をつないだ。そして、史上4人目のシーズン200安打男となった。

 マートン

 とても光栄。この17本目は記憶に残るホームランになる。カミサマハ、ワタシノチカラデス!

 何度も「神様に感謝」と口にした。毎試合、手首からパワーをもらってきた。日々使用する打撃グローブには黒ペンで「Ph

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 13」と記す。『フィリピの信徒への手紙

 1章の4節13』という意味。内容はこうだ。“わたしを強めてくださる方のおかげでわたしにはすべてが可能です”-。常に持ち歩く聖書の中でも大好きな個所。「神様がいれば自分は何でもできる、という意味なんだ。いつも手袋を見てファイトをもらっている」。敬虔(けいけん)なクリスチャンは日ごろの感謝を込め、節目の1発を神にささげた。

 大記録は努力のたまものだ。遠征先の朝はウエートトレーニングを志願。来日時、血圧測定ベルトの長さが足りなかった丸太のような腕は、片手懸垂を楽々5回クリアできる。太もも回りは70センチ前後。「体をねじらず体重99キロを片手で上げる。チーム1、2を争う体」。伊藤トレーニングコーチも驚く肉体が安定感あるフォームを生む。時にはスタンリッジから投手心理も勉強。「打撃の考え方は変わらないけど、日本に来た時より良い打者になれると思う」と成長を自覚する。

 3点リードの8回2死三塁からは中堅フェンス最上部に当たる適時二塁打でダメ押し。一時は本塁打とされながらビデオ判定に泣いたが、23度目の猛打賞で価値ある勝利を導いた。

 マートン

 自分のヒットが勝利につながったのがうれしい。この1勝は大きい。これからまだ10試合残っているし、まだ1位になるチャンスが残っている。

 贈呈された200安打記念球を眺める暇はない。首の皮一枚で踏みとどまった虎は、11連勝を本気で目指す。【佐井陽介】

 [2010年9月24日11時17分

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