<中日1-6阪神>◇23日◇ナゴヤドーム
復活エースが怖い竜を黙らせた。中4日で先発した能見篤史(31)が7回を森野のソロによる1点に抑えた。9奪三振で無傷の今季5勝目。G倒に成功した18日甲子園に続き、勝負の6連戦でライバル2球団から2勝した。前日、サヨナラ負けに唇をかんだ久保田、藤川のリリーフコンビが2回をピシャリと封じ、借りを返した。
絶体絶命の危機とポーカーフェースは最高の組み合わせだった。能見が竜を止めた。18日巨人戦から中4日の間隔。疲労と重圧が交錯する状況を、左腕で乗り越えた。
「ペース配分は考えられない。とにかく1人1人に投げること。味方が点を取ってくれたので…」。
序盤から力を温存せずに腕を振った。直球のキレは抜群。フォークとチェンジアップも交えて、上下の動きで相手を翻弄(ほんろう)した。7回1失点で毎回の9三振を奪った。今季5勝目。中日、巨人に対しては圧巻の9連勝だ。
冷めたような表情が能見の代名詞と言えるが、それだけでは、この難局で力は発揮できない。左腕には猛虎の熱い血が流れている。優勝への思い-。今年限りで引退を決意した矢野の存在が心中にあった。
「上で投げられるようになってからまだ受けてもらっていない。赤星さんのこともあるし、矢野さんの思いもある。そういう思いを背負って優勝できるようにマウンドに立ちたい」
昨年にブレークを果たしたが、矢野は右ひじ痛に苦しんでいた。エース格に成長した後、信頼の厚い大先輩とバッテリーを組む機会に恵まれなかった。5年ぶりのリーグ制覇が何よりの恩返し。だから9月9日の復帰戦からフル回転のマウンドで、ポーカーフェースを崩さない。
今季最大の決戦となった巨人、中日との6連戦で2勝を挙げた。中日の優勝マジック点灯を阻止し、チームは息を吹き返した。真弓監督もその働きに感服した。「本当に球のキレもいいし、安定したピッチングをしてくれた。追加点もおのずと入っていたんじゃないか」。能見の投球が、打線の復調に一役買った。
次回登板は29日の巨人戦(甲子園)が有力だ。「優勝の可能性が残った」と報道陣から声が飛ぶと、能見は即答した。「それはもちろんですよ」。中日有利な状況は変わらないが、あきらめる気はサラサラない。細身の左腕が土俵際で底力を見せた。【田口真一郎】
[2010年9月24日10時59分
紙面から]ソーシャルブックマーク



