うれしい誤算の2位フィニッシュだ。8日、巨人が最終戦でヤクルトに敗れ、阪神の2位が確定した。真弓明信監督(57)は、甲子園開催が決まった16日からのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで、初戦を能見篤史投手(31)、2戦目を久保康友投手(30)、3戦目がある場合はジェイソン・スタンリッジ投手(31)に託す方針を固めた。聖地の頼もしい大声援の中、必勝ローテで巨人を蹴散らし、ファイナルステージへの扉を開く。

 遠く離れた東京ドームから、夜空の甲子園に朗報が届いた。この日、巨人がヤクルトとの今季最終戦に敗れた。この瞬間、虎の2位が確定。16日から始まるCSファーストステージの舞台が甲子園に決まった。阪神はすでに全日程を終了しており、巨人が負けるのを待つしかなかったが、大きなアドバンテージを手にした。追い風に後押しされ、真弓阪神が自慢の3本柱を送り出す。

 山口投手コーチはこの日、遠征先横浜から帰阪する際、新横浜駅で「2連敗したら終わり。先は見れない」と力を込めた。そう、目の前の1試合に全力を注ぐしかない。その初戦、“開幕投手”を任されるのは能見だ。今や押しも押されもせぬGキラー。今季は巨人戦5試合に登板して無傷の3勝、防御率2・96。昨年7月以降、巨人戦は9戦無敗の7連勝中だ。右足甲骨折で4カ月の戦線離脱を余儀なくされながら、今季先発10試合でチーム全勝と安定感は抜群。「これまで(ポストシーズンで)投げたことはないですけど、やれることをやるのは一緒」。自然体で決戦のマウンドに上がる。

 2戦目は久保。今季チームトップの14勝をマークした、投手陣の軸としてチームを引っ張った。巨人戦は4試合で1勝2敗、防御率5・09。それでも首脳陣の信頼は厚い。「この時期は(リーグで)3チームしか試合をできない。感謝したい」と気合がみなぎる。決着が3戦目までもつれこんだ場合も問題はない。スタンリッジが万全の状態でスタンバイする。今季は開幕後の途中入団で11勝を記録。巨人戦4試合で1勝2敗、防御率6・00と苦しんでいるが、短期決戦でのリベンジに燃えている。

 ファーストステージを勝ち抜けば、この3人はファイナルステージ中日戦へ中4日で向かうことが予想される。ここに秋山、メッセンジャーを加え、中継ぎ陣もフル稼働させてCS突破を狙う。道のりのスタート地点は巨人戦。割れんばかりの大歓声を背に能見、久保、スタンリッジが聖地に立つ。

 [2010年10月9日11時22分

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