<パCSファイナルステージ:ソフトバンク2-5ロッテ>◇第5戦◇18日◇福岡ヤフードーム

 命運はエースに託された。ソフトバンク杉内俊哉投手(29)が5年ぶりとなる中4日先発で19日の最終戦に臨む。チームは逆転負けで3勝3敗となり、CS突破へ「逆王手」をかけられた。後がなくなった大一番で背番号47がマウンドへ上がる。前回の中4日先発は05年のプレーオフで、くしくも同じロッテとの最終戦だった。初戦で黒星を喫した雪辱とともにWリベンジを果たす。第2戦先発の和田毅投手(29)もベンチ入りが決定。総力戦で日本シリーズ進出を決める。

 腹をくくった。オレがやるしかない-。まさかの逆転負けをベンチ裏で見届けた杉内は、足早に帰りのタクシーへと乗り込んだ。引き締まった口元から発したのは二言だけ。もはや臨戦態勢に入っていた。

 杉内

 まあ頑張るよ。ハイ、頑張ります。

 3勝3敗とロッテに「逆王手」をかけられて迎える19日の最終戦。すべてはエースに託された。5年ぶりとなる中4日での先発だ。14日の初戦で6回1/3、121球を投げて敗れたばかりだが、この日の試合前にはすでに体の準備はできていた。「大丈夫っすよ」。グラウンドで汗を流すと、事もなげに言い切った。

 偶然なのか、必然なのか。置かれた状況は、前回に中4日先発を敢行した5年前と酷似する。リーグ優勝をかけてロッテと争った05年のプレーオフ。10月12日の初戦で黒星を喫し、2勝2敗で迎えた同17日の最終戦に中4日で臨んだ。6回1失点でリードを保ったままマウンドを降りたが、リリーフ陣が逆転を許して万事休す。「敗者には何も言うことがない。それだけ」と肩を落とした。あれから1828日の時を経て、因縁の再戦を迎える。同時に5日前の雪辱もかかる。燃えないはずがない。

 Wエースのリレーも辞さない背水の陣だ。秋山監督は「杉内頼みでいくしかない。明日は総力戦。全員野球でいきましょう」と決意を口にした。第2戦先発の和田も中3日でのベンチ入りが決定した。帰り際にはロッテ渡辺俊とすれ違って「ワッチ、明日は(ベンチに)入るの?」と探りを入れられると「どうですかね」と不敵な笑みを浮かべていた。

 和田

 心の準備はしています。勝つか負けるかなんで、疲れた疲れてないは言ってられない。気持ちの強い方が勝つ。

 試合後には選手全員を集めて緊急ミーティングが招集された。秋山監督からは「調子がいい悪いは関係ない。明日、すべてを出し切ろう」と力強い声が飛んだという。この日先発した大隣を登録から外し、代わって野手陣を増強する見込み。全員が全力をぶつける最終決戦になる。目指すは1つ、勝利の2文字だけだ。

 [2010年10月19日11時42分

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