宮崎で秋季キャンプ中のソフトバンクが、OBの武田一浩氏(45=野球解説者)を臨時投手コーチとして招聘(しょうへい)することが4日、分かった。横手投げ右腕だった同氏は、現役時代に救援と先発でタイトルを獲得。06年のWBCでは投手コーチとして世界一に貢献している。チームの弱点である右の先発を育成する使命を受け、近日中にキャンプ地入りする。

 ソフトバンクが、リーグ連覇に向けて秋季キャンプに武田氏を臨時コーチとして緊急招聘する。武田氏は、15年間の現役時代に通算89勝31セーブをマークしたサイド右腕。日本ハム、ダイエー、中日、巨人と4球団を渡り歩き救援と先発の両方でタイトルを獲得した。キャンプに招く理由は、先発右腕不足の解消だ。

 今季チームは76勝でリーグ制覇したが、そのうち右の先発投手が挙げた勝ち星は、わずか11勝。今ドラフトでも即戦力投手の補強はなく、現有戦力の底上げは必須課題だ。リーグを代表する杉内、和田ら左の先発陣は強力だが、バランスを考えてもシーズン通してローテーションを任せられる右腕の台頭が求められる。

 チームが武田氏に期待するのは、2人のサイド右腕に、ローテ定着のきっかけを与えることだ。6年目の高橋秀と5年目の藤岡。高橋秀は前半戦に5試合先発したが2勝止まりで、その後は2軍暮らしが続いた。1軍扱いのA組となった今キャンプでは、第1クールからブルペン投球を積極的に行っている。藤岡は開幕当初に3試合先発し1勝2敗。その後は中継ぎに回った。変則右腕だった同氏なら、伸び悩んだ2人に刺激を与えられる。

 武田氏が期待されるのは、両右腕への助言だけではない。関係者は「いろんな投手が刺激を受けてもらいたい」と説明した。武田氏は野球解説者として歯に衣(きぬ)着せぬ発言で知られる。96~98年に在籍したダイエー時代には、若き日の城島を一人前に育てるため、マウンドやベンチ裏で叱咤(しった)し、球界NO・1捕手へ成長させた。

 右肩故障からの復活を目指す新垣も右腕を従来よりも下げるフォームを模索中なだけに、武田氏の助言が完全復活のきっかけとなる可能性もある。

 12球団ではコーチ経験はない武田氏だが、06年のWBCでは王監督のもと投手コーチとして世界一に貢献した。この秋、武田氏がソフトバンクの右腕不足解消のキーマンとなる。

 [2010年11月5日11時26分

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