<日本シリーズ:中日7-8ロッテ>◇第7戦◇7日◇ナゴヤドーム

 最後の打球は主将のところに飛んできた。延長12回裏2死。代打藤井のゴロを西岡剛内野手(26)はキッチリさばいた。ゲームセットを見届けると、両手をあげてマウンドに駆け寄った。福岡でのCSファイナルステージでは、遊直を捕って涙を流しうずくまったが、この日は晴れ晴れとした笑顔だった。

 今季は西村徳文監督(50)直々に主将に命じられ、フルイニング出場を自分に課した。159試合。ついに完走してみせた。「1年間、優勝だけを目指して、取れるもんだと思ってやってきた。監督を1年目で、こういう形にできたことが、プロ野球人生で一番うれしい」と笑顔で話した。

 シリーズの打率は1割6分7厘と、シーズン通りの打撃ではなかった。それでも、この日も1回に安打を放ち、先制のホームを踏むなど、チームに貢献してきた。このオフには、ポスティングシステムによるメジャー移籍を希望している。この日は来季の展望を口にしなかったが、今日8日以降に球団と話し合う。石川球団本部長は「従来通りのスタンスです」と話し、西岡から話し合いを求められればテーブルに着く意向はあると話した。夢を実現した男は、新たな夢に突き進むことになる。【金子航】

 [2010年11月8日8時12分

 紙面から]ソーシャルブックマーク