<日本シリーズ:中日7-8ロッテ>◇第7戦◇7日◇ナゴヤドーム
ロッテの今江敏晃内野手(27)が最高殊勲選手(MVP)に選ばれた。3点を追う5回に適時打を放ち、安打で出塁した7回には勝ち越しのホームイン。延長12回には先頭打者として四球を選んで出塁し、決勝のホームを踏んだ。日本シリーズ史上初となる3度目の1試合4安打を記録するなど、通算27打数12安打6打点。05年に続く文句なしの2度目の栄誉となった。
金色に輝く盾を堂々と受け取った。ロッテ今江の笑顔は晴れやかだった。05年の日本シリーズに続き、出場したシリーズで連続して最優秀選手に選ばれた。「日本一にならないともらえない賞なので、チームメートに感謝したい」。だれが選ばれてもおかしくないほど、チーム力で勝った。だが、その中でもシリーズ男の強運は健在だった。
何かを持っている男だ。CSでは失策を犯してもチームは勝った。西武戦では4点を献上する失策も犯したが逆転した。ソフトバンク戦でも同様だった。失策をしても、チームは勝ち進んだ。その度に「ついてる。ついてる」と前向きにとらえて切り替えた。
この日も、1回1死一、三塁のたたみ掛けたい場面で、一塁走者だった今江は、谷繁がボールをはじいたスキに二盗を試みたもののアウト。流れが中日に傾きかねないプレーだったが、4安打の活躍で取り戻し、チームを日本一に導いた。「持ってる?
持ってるものといえば仲間ぐらいですよ」と、強運は仲間のおかげだと言い換えた。
第1戦の前夜には、根元とともに食事に出かけた。名古屋コーチンに舌鼓を打ち、おいしい料理でストレスを発散した。「メリハリって大事だと思うんです。こうやって息抜きができる分、試合になった時に力が出せるんじゃないかな」と話していた通りになった。
試合ではだれよりも積極的だった。ファーストストライクを見逃すことはほとんどなかった。キャンプではボール球にも手を出してしまう自分に悩んでいたが、シリーズではその積極性が生きた。PL学園の先輩、清原和博氏(日刊スポーツ評論家)が、短期決戦の極意を「積極的に振っていくこと」と話していたのを聞き「いつもどおりやればいいんだ」と自信を持った。そうやって打った一打、一打がチームを上昇気流に乗せた。
大きく成長できたシーズンだった。「今まで納得のいく年はなかったけど、今年は充実した年でした」。シーズンの打撃成績は過去最高。開幕時の9番から、2番や6番も打ち、最後はクリーンアップを任された。打順を固定したい西村監督が、いろんな打順で使ったのは、どの打順でも順応できる能力の高さを買っていたからだった。パ・リーグ3位に終わったチームは、日本シリーズを勝ち抜いた。今、日本一強いのはロッテだ。その中心に、今江がいた。【竹内智信】
[2010年11月8日8時9分
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