石原慎太郎都知事(78)が26日、日本球界にカツを入れた。新宿区内の東京都庁で日本プロ野球選手会の阪神新井貴浩会長(33)と初対面した。同選手会主催イベントに東京都が協力するお礼を兼ねた表敬訪問を受けたが「野球の世界は一番閉鎖的だ」など直球をズバズバ投げ込んだ。歯に衣(きぬ)着せぬ慎太郎節で、阪神の4番打者をタジタジにした。

 表敬訪問が、改革の勧めに早変わりした。石原都知事は、新井会長とロッテ渡辺俊介副会長と対面。選手会が12月4日に開く「ベースボール・クリスマス2010」(駒沢オリンピック公園総合運動場)のお礼を受ける席でいきなりジャブを飛ばした。

 石原都知事

 選手会って、何の選手会?

 新井

 12球団のです。

 石原都知事

 弱いほうのセントラル・リーグが何で会長なのよ。オレはタイガースびいきだけど。もっと給料上げろ、というやつか。

 いすに座る前から新井を苦笑いさせて、さらに話題は野球界全体に及んだ。

 石原都知事

 野球の世界は一番閉鎖的だ。FAは10年でしょ(国内7年または8年、海外9年)。アマとやれなかったり、協会が4つも5つもあったり。サッカーは進んでる。J1の下(下位)でも外国のスカウトが見て、欧州に連れて行く。そういう自由さを出さなきゃ。年取ってから海外にいってもしょうがない。あなたもすぐにいきたいだろ?

 選手会長、しっかりしろよ。

 突然メジャーの話題を振って、新井を絶句させた。

 石原都知事

 野球は歴史が古い分、選手がかわいそう。奴隷とは言わないが、買われた身で言うこときけみたいな。野球のFAはサッカーに比べて不自由。巨人ファンじゃないけど、ナベツネ(巨人渡辺恒雄球団会長)に言っといてやる。

 選手会が目標にする国内外を問わず球団在籍7年での権利取得より急進的だ。

 石原都知事は、アマとの交流についてもハッパをかけた。Jリーグがアマチュアとの練習試合を盛んに行い、さらに有望選手をクラブ所属として公式戦に出せる仕組みを披露。一方の野球界ではプロ選手が高校野球部に所属する自分の子どもに野球を教えられない。

 石原都知事

 おかしいね。他競技でないものね。

 新井

 ごもっともです。サッカーと違って、プロとアマが振り払う垣根がある。去年11月は大学選抜とプロが試合をしました。一昔前には考えられないイベントなので縮めていきたい。

 石原都知事

 縮めるよりもぶっ壊さないといけない。野球界の未来はあまりないよ。頑張れ。

 約15分間で会談は終了。「皆が言えないところ、言いにくいところをガッと言えるすごさというか、勉強させてもらいました」と新井。日本の野球界を思っての剛球につぐ剛球で、阪神の4番をたじたじにした。【益田一弘】

 [2010年11月27日9時52分

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