楽天岩隈久志投手(29)が8日、Kスタ宮城内の球団事務所で残留会見を行った。
アスレチックスとの交渉が決裂し、初めてポスティングシステム(入札制度)による移籍がかなわない日本人選手となった。だが岩隈は「スッキリした気持ち。大きな夢は持っていたいけど、テッペン目指して、心配かけた分マウンドで恩返しします」と潔かった。
ア軍の入札額1910万ドルと、最初に提示してきた4年総額1525万ドルを合わせた総額は3435万ドル(約27億4800万円)。開幕時の年俸総額が30球団中28位という経営規模からみれば、一概に「安い」とも言えない。一方、依頼人を少しでもいい条件で送り出すことが代理人の譲れない本分でもある。功労者である岩隈を尊重し、例外的に入札移籍を認めた楽天球団は、結末を見守るしかない。それぞれの事情、立場、利害が立脚点から大きくかけ離れているため、建設的に落としどころを探す作業が困難になる。誰のせい、ではない。制度の限界がここにある。
当の岩隈は、ポスティング移籍を模索したことに「後悔はない」と言った。最終的なジャッジを下すのは本人であり、判断した以上、後ろ髪引かれることはなかった。「配慮してくれた球団」「家族、仲間」「温かかったファン」「『一緒に優勝しよう』と言ってくれた星野監督」「『来年思い切ってやって、フリー(FA)になって(メジャーに)来たらいい』と言ってくれた松坂さん」「僕のことを議論してくれた選手会」。次々と挙げ「感謝します」と繰り返した。いかなる結論も受け入れる懐の深さ、前を向き切り替える潔さが、日本球界が誇るエースにあった。【宮下敬至】
[2010年12月9日8時31分
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