絶縁宣言で、ガチンコ勝負だ!

 ソフトバンク田上秀則捕手(30)が8日、新加入する細川亨捕手(31)に対して牙をむき出しにした。FA加入した同い年のライバルに「仲良くしようとは思わない。負けるつもりはない」と宣戦布告。昨季は不調で7本塁打と低迷したが、チームトップの26本塁打を放った09年の打撃を取り戻して、正捕手の座を勝ち取る。

 格闘技の試合前のような、挑発だった。年明け早々、田上がライバル細川に強烈な宣戦布告だ。

 「同い年?

 仲良くしようとは思わない。細川に勝たんと試合に出られへん。そこまですごい選手か、と言われればそうは思わない。実際見てるからね。スローイングだけなら負けるかもだけど、総合的には負けない」。

 ライバルとはいえチームメート。ここまであからさまに強い対抗心を燃やすのは、意地とプライドがあるからだ。昨季は極度の不振で7本塁打と持ち前の打撃は低迷したものの、エース杉内と今オフにはバッテリー賞も受賞。09年にはチームトップの26本塁打をマークした男にとって「新加入=正捕手」と決めつけてしまったような周囲の反応が我慢ならなかった。

 「優勝したのに、FAで(捕手を)取られたこと自体が悔しいし、恥ずかしい」。

 球団を見返すという意味でも、自動的にポジションを明け渡すわけにはいかない。オフの課題は盗塁阻止率アップに向けた守備力の向上と、さらなる打撃力のアップ。地元・大阪での自主トレではすでにスイングを開始しており、今季に向けて新しいバットを選定中だ。

 「スローイングとか守備が昨季のままじゃ無理。ただ、打てないと始まらない。自分の持ち味だから」。

 0割6分9厘だった盗塁阻止率やキャッチング技術を最低限のラインまで上げ、打撃勝負で挑むつもりだ。自主トレでは握力、背筋力、判断力などを同時に鍛え上げることを目的に、インドアクライミングと呼ばれる人工の岩を登るスポーツにも挑戦する予定でいる。

 この日は北九州市内のホテルで行われた「九共大出身プロ野球選手後援会主催

 選手との集い」に同大OBの柴原、馬原、新垣、高橋秀と出席。集まった約300人の後援者やファンから激励を受け、正捕手取りを誓った。

 新加入するライバルは、キャンプで2軍や育成を含む全投手の球を受けることを宣言した。

 「そんな時間あるんですかね」。不敵な笑みが、田上の本気度を表している。【倉成孝史】

 [2011年1月9日10時56分

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