メジャーがダメならウチに来い!

 阪神真弓明信監督(57)が8日、小林宏之投手(32=ロッテからFA)の獲得交渉に出馬する意向を明らかにした。メジャー移籍を断念した場合、球団はすぐに交渉する準備を進め、小林宏も応じる構えをみせている。中継ぎ補強はリーグ制覇の鍵を握るため、指揮官が直接口説く考えだ。

 最強のリリーフ陣を作るためなら、労は惜しまない。真弓監督がコバヒロ獲得への熱い思いを明かした。熱望するメジャー移籍を断念した場合、球団はすぐに交渉に乗り出す方針を固めている。「騒がれると、うまくいかんことがある」。最初は慎重な口ぶりだったが、すぐに強い決意をにじませた。

 「フロントに任せているが、出て行って、うまくいくなら、もちろん行くよ」。出馬も辞さない構えだった。

 中継ぎ補強の必要性は、指揮官も感じていた。昨年は久保田が復調したが、藤川につなぐ7、8回のイニングに登板する投手が安定感を欠いた。守護神に複数回を任せる場面が目立った。長年の勤続疲労も不安だ。小林宏が加入すれば、負担は軽減されることは間違いない。

 「日本一になった抑えの投手。それだけの経験をしている」

 近鉄コーチ時代に実際に対戦し、特長は把握している。久保田-小林宏-藤川という右腕リレーは、他球団の脅威となるはずだ。

 次第に風は阪神に吹いている。小林宏はメジャーに移籍するため、海外FA権を行使したが、米球界から有力なオファーはない。阪神の獲得方針に対して、6日に「評価してくれているのは、うれしく思う」と話したばかり。交渉のテーブルにつくことを否定せず、国内残留時の移籍筆頭候補となった。

 長期戦になる可能性もあるが、真弓監督は気にしない。本人の意思を最大限に尊重する考えだ。

 「焦って、うまくいかなくならないように」

 今オフの補強は例年に比べ、穏やかだった。それが一転、目玉選手の獲得が現実味を増してきた。指揮官は、09年オフに城島、昨年11月に藤井の獲得交渉に直接出馬し、熱意を伝えた。「いい方向にいってくれたら、いいんだけどね…」。6年ぶりリーグ制覇にかける思い-小林宏にラブコールを送る日が来ることを願ってやまない。

 [2011年1月9日10時34分

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