球児、チェンジ!

 阪神藤川球児投手(30)が、秘密兵器の実戦配備に入った。6日、甲子園で球場のマウンドに上がって45球のピッチング。その中でチェンジアップ2球を試投した。

 藤川

 チェンジアップ!

 静かな甲子園に守護神の予告が響いた。午前10時の練習開始直後にマウンドをひとり占めした。直球、カーブ、フォークと球種を試す中に、チェンジアップを入れた。1球目はワンバウンド、2球目はボールの抜けが不完全だった。藤川は球種の質問に「腹が痛い、腹が痛い」とおどけて煙に巻いた。ただ、打席に立った片岡打撃コーチは新球の効果を口にした。

 片岡コーチ

 ひとつあることによって打者はすごく嫌。球児と言えば直球とフォーク。チェンジアップがあれば、緩急も出てくる。

 藤川はチェンジアップをブルペンで遊び程度に投げていたという。ただこの日のように本番マウンド、しかも打者が立った状態で投げたことは初めてだ。片山ブルペン捕手は「(藤川は)投げられたらいいな、とは言っていた」。山口投手コーチも「いろいろ試しているね。投球の幅を広げるためでしょう」と話した。

 クローザーは試合での球数が少ないため、自信を持っている精度の高いボールしか投げられない。ただ最大の武器である火の玉直球と同じ腕の振りで投げられるチェンジアップを習得すれば、その相乗効果は計り知れない。藤川がチャレンジに成功すれば、破壊的な武器になる。【益田一弘】