日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が被災地復興を後押しするための第1球を投じた。23日、札幌ドームでの西武との実戦形式の合同練習で先発。右肘張りの不安も一掃し、最速154キロをマークするなど3回を1安打で無失点に抑えた。

 「生きているだけで、ありがたい」。

 3日巨人戦以来、20日ぶりの実戦登板だった。11日の東日本大震災後は初マウンド。複雑な感情を封印して使命に徹した。ほぼベストメンバーの西武打線を内野安打のみの1安打で2三振を奪った。36球のうち22球の直球は154キロを筆頭にすべて150キロを超えた。延期された4月12日開幕戦での大役へ向け、ピッチを上げた。

 東北高の先輩、伊東進太郎さんが岩手・陸前高田市の津波に巻き込まれ、28歳の若さでこの世を去ったことを、報道などで知っていた。「同じ寮で生活をして、同じ球場で練習して、食事をして…。寂しい」。その母校の後輩たちがこの日、甲子園の聖地を踏んだ。「正直、野球どころではないと思うけれど頑張ってほしい」と、切に願った。

 野球人の頂点にいる者として、果たすべきことは-。「開幕したら、僕たちが見せる番。笑顔にしたい」。いくつもの思いを背負う特別な1年へ、歩を進めていく。【高山通史】