今年もブラゼルはマエケンキラーだ!

 開幕延期にともなう実戦形式の合同練習が23日、各地で始まり、阪神は広島と対戦した。クレイグ・ブラゼル内野手(30)が沢村賞右腕の広島前田健太投手(22)から1発を放った。実は昨季、打率4割2分9厘の2本塁打と打ちまくったお得意様。開幕後にとっておきたいような豪快打だった。

 完ぺきだ。無観客のマツダスタジアム。乾いた音が響き渡った。低反発で飛びにくいはずの統一球が飛ぶ、飛ぶ…。まるで格下の投手を打ち負かすように、ブラゼルが右中間席最深部にたたき込んだ。マウンド上には前田健。リーグどころか、日本を代表する右腕の1人が立ち尽くしていた。

 ブラゼル

 シーズンが近づく中、良い投手と対戦できて良かったよ。彼はリーグを代表するピッチャーだからね。打てて良かった。

 2回1死。1ストライクから内角139キロ直球を力まずに振り抜いた。ライナーに近い弾道の推定130メートル先制ソロ。「マエケンキラー」ぶりを広島ナインに思い出させた。

 昨年5月9日、「母の日」の甲子園。リストバンドとチタンネックレスにピンク色を入れ、打撃用手袋にラニー夫人と母メアリーさんの名前を書き込んだ。そして、2打席連続アーチ。前田健からの2発だった。

 昨季の対戦成績は7打数3安打の打率4割2分9厘、2本塁打。猛虎全体では2試合で1勝1敗、打率2割2分4厘の防御率3・00と打ち崩せていないだけに、キラーぶりがより際立つ。

 今季は相棒をマイナーチェンジさせた。1キロのマスコットバット、945グラムの試合用バットは重さ、形に変更なし。ただ、色が違う。47発を放った昨季は白一色の1本と、ポッキーのように黒基調でグリップ部分が白の1本。今季は「ポッキーバット」の黒色部分を鮮やかなオレンジ色に変えた。「赤に近い色が良いね」と闘志むきだしの色を要望。白一色と「新ポッキーバット」を気分によって使い分け、この日は白木で1発を放って見せた。

 合同練習を含め、ここまでの実戦成績は打率4割5分5厘、2本塁打と絶好調だ。試合後はすぐさま宿舎近くのウエートルームに直行し、汗だくになった。いつも陽気な怪力助っ人。明るい表情の裏で、開幕に向けてコツコツ努力を続けている。【佐井陽介】