<広島4-2巨人>◇16日◇マツダスタジアム

 野村カープに孝行息子が現れた。今日17日に20歳になる広島今村猛投手が、先発ジオのアクシデントで巨人戦の4回途中から急きょ登板。重量打線の巨人相手には初登板だったが、7回までの3回1/3を6安打されながらも無失点で抑え、10代最後の日にプロ初勝利を挙げた。野村監督就任1年目のドラフト1位が、2年目にして目覚めるか。

 初めてのお立ち台で、若き右腕は「うれしいです」と繰り返した。今季初登板は、思わぬ形でやってきた。4回1死、先発ジオが巨人高橋の打球を処理した際に故障した。急きょ今村に出番が回ってきた。

 「準備が出来ていなかったので、そこからつくりました。体が先に動いたので、気持ちがついて行ってなかったかも知れません」。代わりばなに連打を浴び、5回無死一、二塁、6回にも1死一、二塁とピンチの連続。それでも気持ちを切らさず、6回のピンチでは代打谷を140キロのストレートで空振り三振に切って取った。「あの真っすぐは気持ちよかったです」と笑った。

 「ナイスピッチ」と今村の肩をたたいた野村監督もその働きをたたえた。「うれしいね。彼が入団してきたときのことを思い出した。僕が監督になって初めてのドラフト1位だからね」。09年オフの監督就任後、最初の仕事がドラフト会議だった。そこで1位指名した今村が2年目にして初勝利。“野村チルドレン”が早くも戦力になった。今村も「1位で取ってもらい、今年こそはと思ってやってきましたから」と胸を張った。

 「まず1勝」を目指してスタートした今季、開幕は先発ではなく中継ぎで迎えた。先輩の前田健の調整法などを見て学び、吸収して成長してきた。初勝利は20歳2カ月で挙げた前田健より先んじたが、今村はきっぱりと言った。

 「(前田健は)20歳の年に9勝しているので、まだ1勝と言われちゃいます。だからあと8勝は最低やりたい」。ジオの故障の程度次第では、今村に先発が回ってくる可能性もある。大型右腕にとって、飛躍のシーズンが待っている。【高垣誠】