<ソフトバンク3-0楽天>◇3日◇福岡ヤフードーム

 ゼロなら負けない!

 ソフトバンク和田毅投手(30)が3安打完封で今季初勝利を挙げた。無四球で11奪三振と完璧な内容。開幕戦以来、好投を続けながらも打線の援護に恵まれず3戦白星のなかった左腕が、5年ぶりの無四球完封劇で岩隈に投げ勝ち。どんたくシリーズでめでたく1勝目を手にした。

 自らの左腕で白星をもぎとった。9回2死。和田は3番高須への勝負球に直球を選んだ。内角低めいっぱい。初回からまったくキレを失っていない139キロの球で、バットに空を切らせた。06年7月以来の無四球完封。スコアボードに9個目の0を並べると、左手でポンとグラブをたたいた。ようやくつかんだ初白星に白い歯をこぼした。

 和田

 今季で一番よかった。腕が勝手に振れているという感覚だった。納得できる投球。相手も岩隈だったので格別です。

 開幕投手としての意地とプライドがあった。2年ぶりの開幕マウンドとなった4月12日オリックス戦では、2-1の9回1死にまさかの同点弾を浴びた。2戦目以降も好投しながら白星がつかなかった。登板した過去3試合の味方の平均得点は1・67点。それでも相手エースと投げ合う開幕投手として、いっさい言い訳はしなかった。

 和田

 味方が点を取ってくれているのに勝てないのは自分の責任。0点に抑えれば負けることはない。

 有言実行で0を並べたが、何よりも白星が欲しかった。4月17日。早大の後輩で助言も行う日本ハム斎藤に、初勝利の祝福メールを送った。「1年間、ケガせずにこれを続けていくことが大事」。かわいい後輩のプロ初勝利を喜ぶと同時に、投手の存在意義を再認識した。「投手は内容ではなく、チームを勝たせることが一番大事」。文句のつけようのない投球で、チームに勝利を運んできた。

 開幕から3試合白星がなかったのはプロ9年目で初めてだったが、焦りはなかった。これまで積み重ねてきたことに、自負があった。最多勝に輝いた昨季からさらなる高みを目指し、オフに体重を5キロ以上増量。ハワイでの優勝旅行中も早朝6時からワイキキビーチを走った。

 ハードな練習内容で知られる自主トレ中も、体重増のため練習中に何度もゼリーなどを口にし血糖値を一定に保った。初めて自主トレに帯同した大場は「一番勝っている投手が一番練習をしている姿に震えた」と話す。

 開幕投手のようやくの白星に、秋山監督も「完璧だったね」と、手放しで喜んだ。和田の11年シーズンが開幕した。【倉成孝史】