<巨人4-4ヤクルト>◇6月30日◇東京ドーム

 巨人が負け試合を土壇場で引き分けに持っていった。2-4の9回、相手マウンドにはヤクルトの守護神・林昌勇が上がった。だが、巨人にあきらめムードはなかった。「塁に出ることだけを考えた」と巨人アレックス・ラミレス外野手(36)が中前打で出塁。続く小笠原の打球はマウンドと三塁の間に転がった。万事休すと思いきや、捕球に行った林が右足を滑らせ転倒。好機が広がり、阿部の適時打、脇谷の同点犠飛を生んだ。

 この同点劇は、ラッキーからなのか、いや、執念からだ。4号ソロを含む2安打2打点の阿部が「みんな打ちたいと思ってやっている」と、全員の思いを代弁した。サヨナラ勝ちはならず2戦連続ドローとなったが、気持ちを切らさず林に立ち向かって結果を出したところに光明は見える。小笠原は「気持ちで何とかしようというのが、乗り移ってくれたのかもしれないですね」と振り返り、脇谷も「明日につながると思う」と前を向いた。

 デッドライン突入も回避した。借金が「7」になると、巨人の70年を超す歴史においても優勝した例はない。そんな負のデータにリーチが懸かっていたが、踏みとどまった。だが、先発東野が四球から失点を重ねるなど試合をつくれなかったことに、原監督は「コメントできないね」と怒り心頭。それでも9回の追い上げには「やはり(主軸が)つないだり決めたりとなると、チーム力も上がりますよね。ガッツもあそこで結果的にはつないだことになる。よく追いつきました」と言った。借金は6、順位も4位のまま。この日の引き分けを、今日からの中日3連戦での巻き返しにつなげたい。【浜本卓也】