<西武2-5日本ハム>◇3日◇西武ドーム

 高卒3年目の日本ハム杉谷拳士内野手(20)は、心地よい疲労感でいっぱいだった。試合後、チームバスへ向かう途中の階段を上りながら「いやぁ疲れますね」。前日2日にプロ初安打を放ち、この日の7回にはプロ初打点となる2点適時二塁打。「落ち着いていけました。左方向を意識して打てました」。1点差に詰められた直後、流れを引き戻す貴重な追加点になった。

 6月29日の今季初昇格後、5日間で打率4割、2試合連続の複数安打に計3盗塁。練習から大きな声で周囲を盛り上げるムードメーカー的存在も、1軍の重圧がのしかかっていた。2試合連続の先発に「やっぱり1軍は違いますね。3キロ体重が落ちました。1試合で1・5キロです」。体の変化に驚きながら、明るさだけは失わなかった。

 選手会長の田中賢介内野手(30)が骨折で今季絶望的となった6月中旬、先に声がかかったのは同期の中島だった。「しょうがないです。頑張って練習します」。悔しさをグッと押し込んだ。昨季イースタン・リーグで133本のシーズン最多安打記録を更新。今季も昇格前まで打率3割4分2厘と打ちまくり、チャンスが巡ってきた。

 1軍定着への本当の勝負はこれからだ。新外国人スケールズは、同じ二塁が守れ、スイッチヒッターも共通項だ。「とにかくしがみついてでも1軍に残りたい」と真顔でキッパリ。それでも、帰り際「ここから歴史が始まります」と、周囲を笑いに誘う一言でバスへ乗り込んだ。【木下大輔】