<西武4-2ロッテ>◇25日◇西武ドーム
低迷する獅子に頼れるキャプテンが誕生した。西武中島裕之内野手(28)が、ロッテ戦の8回に決勝の11号2ランを放ってチームの連敗を9で止めた。後半戦開幕にあたって「人生初」という主将に任命された男が、最初の試合でいきなりの大仕事。西武では06年以来、08年の渡辺監督就任後では初めて導入した主将制が、最下位に沈むチームに“起爆剤”として光をともした。
右胸にある「C」マークが輝いていた。中島が指揮官の思いに最高の形で応えた。同点の8回1死一塁、直球を迷いなく振り抜いて完璧な弾道で左翼席へ。6月29日のオリックス戦以来となる“キャプテン1号”が決勝2ランとなった。当然のように上がったお立ち台では、ルーキーでもないのに異例の自己紹介。「今日からこの(主将)マークをつけてプレーすることになりました中島です」と笑いを誘うトークもさえた。
球宴出場のため名古屋に移動した21日、オールスター出場組の選手、同行したチームスタッフと囲んだ食事の席で渡辺監督から打診を受けた。「『やってくれるか?』って。嫌とも言えないので『はい』と言いました」と冗談っぽく振り返ったが、チームは切羽詰まっていた。中島もまた例年当然のように打つ3割に届いていない状況。調子が良くない中で新たな肩書が加わる。言葉ほど受諾は簡単ではなかったはずだ。
より重圧がかかる恐れに悩みながらも「(中心となる)主将を置いてチームを立て直さないと」と同監督が決断したこと。「中学でも、高校でもやったことはない」という主将就任に踏み切ったのは、そんな胸の内を、中島なりに感じ取ったからかもしれない。
もともと言葉でチームを鼓舞するタイプではない。その上で渡辺監督からは「今までと一緒。やってる姿をみんなに見せてほしい」と求められた。昨季選手会長を務めた経験もある。ただ、やはり新たな挑戦だった。この日もメンタル面での違いを実感したが「(ヘッド兼打撃コーチの)土井さんもキャプテンをやって気持ちの面が変わって、いい成績を残せるようになったと聞いた」と可能性を広げるチャンスととらえた。
就任初戦で出した結果。チームの連敗も止まり「少しホッとした部分もある」と本音がこぼれた。依然借金は14と苦しい戦いは続く。それでも、やってくれそうな予感がする存在が出てきた。中島が名実ともに真のキャプテンになった時、トンネルの出口は見えているはずだ。【亀山泰宏】



