<ロッテ0-3オリックス>◇5日◇QVCマリン

 新人王争い、忘れてませんか?

 ロッテのドラフト1位ルーキー伊志嶺翔大外野手(23)が打率を3割とし、激戦の「新人王ダービー」を1歩リードした。オリックス戦で4打数2安打。規定打席到達後、初めて「大台」に乗せた。パ・リーグには3割打者は5人しかいない。日本ハム斎藤らと繰り広げる新人王争いも、がぜん注目だ。

 151キロにも、力負けしなかった。伊志嶺は外角低めの直球に思い切りバットをたたきつけた。鋭い打球が左中間を破ると、二塁を陥れた背後で、スコアボードに「300」の数字が点灯した。4打数2安打。最終打席で3割に打率を乗せた。「まだまだシーズンは長い。全然気にしていない」と控えめに振る舞うが、3割打者はパ・リーグでは5人しかいないからこそ価値がある。

 「大学N0・1野手」のふれ込みで入団したが、評価は「守備と走塁は即戦力」。キャンプでは金森打撃コーチと連日の早出でフォームを改造。打力強化へ「スイングをコンパクトにし、ボールを最短距離でとらえる」という課題に取り組んできたが、シーズン序盤はまだまだ好不調の波が激しかった。

 開眼させたのは交流戦最終打席での一振りだ。6月19日のヤクルト戦、押本の内角球を右前にはじき返した。「バットが最短距離で出ないと、あの打球は打てない」。理想のスイングを初めて実践できた手応えがあった。2割5分7厘だった打率が、以降の1カ月半で3割まで急上昇。「コンパクトに振れているから、ミスショットが減った」と自己分析した。

 日本ハム斎藤の「諦めない」発言で新人王争いに火が付いた。勝ち抜くために「3割」は重要なラインだが、一貫して「チームの勝利に貢献して、その結果でタイトルを取れればいい。今の数字に満足していたらだめ」という姿勢を崩さない。この日も3割到達を喜ぶより、6回無死一塁でのけん制死を反省した。「ヒットを打ったからといってミスが帳消しになるわけではない。今日の試合は自分が壊した」。この強い意志がある限り、新人王の最短距離にいるのは間違いない。【鈴木良一】