<西武1-8ソフトバンク>◇7日◇西武ドーム

 笑顔なきスピード記録となった。西武石井一久投手(37)がソフトバンク戦の4回1死一塁の場面で、多村を内角低めの直球で見逃し三振に仕留めた。史上20人目の通算2000奪三振。「三振よりも内野ゴロを打たせる方が難しい」と真顔で言う左腕は、1967回2/3で大台に到達。江夏(2072回)が持つ最速記録を抜いた。

 この回終了後、ベンチ前で長男幹大君(9)が花束を手に出迎えてくれた。「僕も先が短いので(野球をやっている)背中を見せられて良かった」。優しい父親の顔をのぞかせる一方で、三振記録については「日本で取った三振の中で興味のあるものはないです。米国での三振の方が楽しかった」と、素っ気なかった。

 個人記録など、どうでもよかった。6回まで無失点の好投も、味方が先制点を挙げた直後の7回に崩れた。簡単に2死を取ったのに、安打と四死球でピンチを招き2点を失った。川崎に逆転打を浴びた直後、珍しくマウンド上で悔しさをあらわにした石井一は「(点の取られ方が)もったいなかった。記録より、チームがこういう状況なんで勝ちをつけたかった」と、肩を落とした。【広瀬雷太】

 ▼プロ野球通算2000奪三振

 石井一がソフトバンク14回戦の4回に多村から三振を奪い、プロ野球20人目の通算2000奪三振を達成した。通算1967回2/3での到達は、江夏(阪神)の2072回を抜き、史上最速ペース。初奪三振は92年6月9日大洋戦(横浜)の山崎から。石井一は大リーグで435三振を奪っているが、日米通算ではヤクルト時代の07年に2045回で達成している。日米通算での日本人最速は、野茂(近鉄、ドジャース他)の1766回。