<ヤクルト10-10横浜>◇17日◇神宮

 ヤクルトが驚異的な粘りをみせた。無傷の4連勝中だった先発七条祐樹投手(27)がまさかの乱調で、1回表だけで8失点。代わった渡辺も4回表に1点を失い、その時点で0-9と大量リードを許した。しかし、そこから反撃開始。バレンティンの23号3ランなどで得点を積み重ね、6回裏に追いついた。勝ち越しこそできなかったが、完全な負け試合を今季13度目の引き分けに持ち込んだ。2位巨人、3位阪神はともに1点差で負けた。首位のチームは、これでいいのだ。

 回を追うごとに、神宮右翼スタンドを埋めた燕党のボルテージが高まっていく。4回4点、5回4点、6回2点。絶望的な1回の8失点をコツコツと着実に返す。4時間6分を戦い終えると、勝利に近い感覚が広がった。

 1度はあきらめた試合を、「ハマキラー」の1発で勝負モードに切り替えた。9点を追う4回、宮本の適時打で1点を返した直後の1死一、二塁。バレンティンが、141キロ直球を左中間スタンドに運んだ。今季23号3ランは、横浜戦9本目。3試合連続アーチに「回も浅かったし、ギブアップする状況じゃない」と勢いを呼び込んだ。

 先発の「バカボン」七条が1回に7連打を含む8安打で8失点。小川監督は「8点じゃあ、さすがに。どうやってピッチャーを使っていこうかしか考えなかった。なるべくこういう展開では投げさせたくなかった。正直、攻撃のことはあんまり」と敗戦を覚悟した。

 それが、4回に5点差に迫ると、一変する。「こういう展開になったら、チームとして勝ちにいく姿勢を見せなくてはいけない」。

 2番手に渡辺、3番手小野寺と、勝ち試合での登板が少ない投手を送り出したが、6回以降は松岡、久古らを投入し、必勝リレーに持ち込む。「チームの中で選手なりの評価がある。そういうのも大事ですから。チームの一体感になる」と再び戦闘モードに切り替えた。

 これに選手が応えた。5回は1死満塁から森岡の3点適時二塁打、さらに犠飛で4点を奪った。2点差に迫った6回は、川端が右前に同点2点適時打を放った。

 9点差からの逆転勝利なら、球団史上初だった。快挙はならなかったが、負けない強さが、首位ヤクルトを支える。これで引き分けは12球団最多の13試合目。そのうち8試合がリードされてから粘って追い付いた試合だ。

 1回は青木の失策、さらに畠山が打球を後逸して2失点(記録は三塁打)するなど、守備の乱れがあった。小川監督は「一生懸命やってのプレー。怠慢プレーではない」と責めない。むしろ、同点に追い付いた直後の6回1死二、三塁からホワイトセル、森岡が凡退して決勝点が奪えなかった場面を「欲を言えば…」と悔やんだ。

 驚異的な粘りで、七条が投げればチームが負けない不敗試合も8に伸びた。チームリーダーの宮本は「いつもピッチャーに助けてもらっている。シンプルに1点ずつという考えだった」と言う。優勝を争う巨人、阪神が敗れた中で、ヤクルトは負けない。この差が大きい。【前田祐輔】